道草
仕事でプレッシャーを感じていたあの日、家に帰っても妻も娘も態度が冷たい現実に、「私」はホームレスに憧れるようになる。始めは週末だけの気晴らしだったのに、そのうちホームレス仲間と、終日公園に寝泊まりするようになった。
ある日、プロ野球選手のK・Yの代理人と名乗る男が公園に現れる。K・Yは幼い頃行方不明になった父親を探しているらしい。仲間の一人、モーゼと呼ばれる大ボラ吹きの顔色が変わった。
仕事でプレッシャーを感じていたあの日、家に帰っても妻も娘も態度が冷たい現実に、「私」はホームレスに憧れるようになる。始めは週末だけの気晴らしだったのに、そのうちホームレス仲間と、終日公園に寝泊まりするようになった。
ある日、プロ野球選手のK・Yの代理人と名乗る男が公園に現れる。K・Yは幼い頃行方不明になった父親を探しているらしい。仲間の一人、モーゼと呼ばれる大ボラ吹きの顔色が変わった。
拝啓、僕のアイドル様
僕はアイドル武田みやこのファンだ。彼女のためなら死ねる。死んで守護霊になって、彼女がTVに出る手助けをする。その位彼女のファンだ。新聞を読まない彼女の為に、時事ネタを解説したファンレターを送るほど、全身赤タイツで「ドロドロ血液のドロ子」を演じる彼女のために、番組のHPに百件以上の書き込みをするほど、だって僕はずっと前から彼女のファンで、彼女は僕のアイドルだったから。
僕はアイドル武田みやこのファンだ。彼女のためなら死ねる。死んで守護霊になって、彼女がTVに出る手助けをする。その位彼女のファンだ。新聞を読まない彼女の為に、時事ネタを解説したファンレターを送るほど、全身赤タイツで「ドロドロ血液のドロ子」を演じる彼女のために、番組のHPに百件以上の書き込みをするほど、だって僕はずっと前から彼女のファンで、彼女は僕のアイドルだったから。
ピンボケな私
私の夢はカメラマン、ってことになってる。実際は買ったデジカメにメモリーカードもつけられないような腕前だけど。
友達ミキと行った飲み会で知り合ったタクミ君は、ハンサムで優しくて面白くて、私は一目惚れしてしまった。一週間後、メールが来てまた会って彼の部屋に行って、でもその後連絡がなくなって、とうとう彼の部屋に押しかけたら、そこにいた友達まで私に迫って来た。
私の夢はカメラマン、ってことになってる。実際は買ったデジカメにメモリーカードもつけられないような腕前だけど。
友達ミキと行った飲み会で知り合ったタクミ君は、ハンサムで優しくて面白くて、私は一目惚れしてしまった。一週間後、メールが来てまた会って彼の部屋に行って、でもその後連絡がなくなって、とうとう彼の部屋に押しかけたら、そこにいた友達まで私に迫って来た。
Over run
ギャンブルで借金まみれ、切羽詰まった俺はオレオレ詐欺に走ることにした。公衆電話でリダイヤルボタンを押してかかった相手は、俺を「健一」と呼んだ。金をせびる筈が、日常会話で終わってしまう。しかもそれから毎日。いよいよ婆さんと会う算段をつけてアパートを訪ねると、そこではひっそりと葬式が上げられていた。
ギャンブルで借金まみれ、切羽詰まった俺はオレオレ詐欺に走ることにした。公衆電話でリダイヤルボタンを押してかかった相手は、俺を「健一」と呼んだ。金をせびる筈が、日常会話で終わってしまう。しかもそれから毎日。いよいよ婆さんと会う算段をつけてアパートを訪ねると、そこではひっそりと葬式が上げられていた。
鳴き砂を歩く犬
修学旅行で行った東京浅草で、鳴子は売れない芸人と出会った。芸は全然面白くなかったけど、鳴子は彼が忘れられなくて、三年後、鳴子は鳥取から上京して彼を探し始める。
毎日何軒も劇場を回って、芸人を見て回る。お金が尽きて働き口を求め、ストリップ劇場に入る。そこで漸く、鳴子は彼――プードル雷太を見つけた。
彼を売れっ子の芸人にしたくて、鳴子は雷太と組むことにした。鳴子の書くネタは客にウケるが、雷太のやりたいネタではない。鳴子に説教される鬱々とした日々、雷太は同じ劇場に出ているストリッパーで芸術家・ジュピターさんに恋していた。…
修学旅行で行った東京浅草で、鳴子は売れない芸人と出会った。芸は全然面白くなかったけど、鳴子は彼が忘れられなくて、三年後、鳴子は鳥取から上京して彼を探し始める。
毎日何軒も劇場を回って、芸人を見て回る。お金が尽きて働き口を求め、ストリップ劇場に入る。そこで漸く、鳴子は彼――プードル雷太を見つけた。
彼を売れっ子の芸人にしたくて、鳴子は雷太と組むことにした。鳴子の書くネタは客にウケるが、雷太のやりたいネタではない。鳴子に説教される鬱々とした日々、雷太は同じ劇場に出ているストリッパーで芸術家・ジュピターさんに恋していた。…
爆笑問題の太田光さんが、以前TVで絶賛していました。太田さん推薦の本は、読んで外れだった試しがないので気になっていたその上、べるさんも誉めてらっしゃったのが決定打、いよいよ読むことを決意しました。…とかいいながら随分遅くなってしまいましたが。何しろ凄い予約者数だったので(苦笑;)。
成程、面白かった。
連想したのはいしいひさいち。四コマ漫画だけどドラマが展開していく、あの感じ。短いエピソードを連ねていって、書かれていない所を想像させる。なのにどんでん返しがあったりして、それが裏切られたりする快感。時系列でまであっと言わされました。『Over run』のラストなんか、久々、電車の中で涙ぐんでしまいましたよ。
どの話も登場人物に感情移入しにくい設定なのに、最終的には愛しくなってるのは何なんでしょうね。各話がほんのり繋がってるのも楽しかった。
でもここまでヒットすると、次回作は確かに難しそうですね。また書くのかなぁ。
成程、面白かった。
連想したのはいしいひさいち。四コマ漫画だけどドラマが展開していく、あの感じ。短いエピソードを連ねていって、書かれていない所を想像させる。なのにどんでん返しがあったりして、それが裏切られたりする快感。時系列でまであっと言わされました。『Over run』のラストなんか、久々、電車の中で涙ぐんでしまいましたよ。
どの話も登場人物に感情移入しにくい設定なのに、最終的には愛しくなってるのは何なんでしょうね。各話がほんのり繋がってるのも楽しかった。
でもここまでヒットすると、次回作は確かに難しそうですね。また書くのかなぁ。