読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

蒼き狼の血脈 小前亮 文藝春秋 2009年

 チンギス・カンの孫バトゥを主人公にしたモンゴル帝国歴史小説

 始まりはジュチの死から。チンギス・カンの長子として生まれながら、母親ボルテが一時期敵に捕らわれていたことから血筋を疑われ、後継者争いに加われなかった男。代わりに彼は西を目指した。モンゴル帝国をさらに広げようと西へ、西へ。その遺志は息子・バトゥに引き継がれる。
 チンギスの後を継いだのは三男オゴデイ。四男で末子のトゥルイの死で、その地位はさらに確かなものとなった。妻の一人ドレゲネは息子グユクをオゴデイの後釜にと画策を巡らす。グユクはバトゥと共に西征に加わっている。
 グユクは人を妬み、羨むばかりで王者の器ではない。バトゥはトゥルイの子で親友のモンケこそが大カアンの地位にふさわしいと思っていた。略奪品の分配で問題を起こしたグユクを首都カラコルムに返した後、オゴデイの死が伝わって来る。グユクの見張り役としてカラコルムに同行したモンケも加わって、新たに後継者争いが始まった。だがバトゥには関係ない。彼は西へ、海を目指すだけ。
 ノヴゴロド公から密使が来る。同じキリスト教ながら、宗派が違うためにスウェーデン王国ドイツ騎士団と敵対している公国は、国の主張が真っ二つに割れていた。親モンゴル派としてバトゥに忠誠を誓い、モンゴルの戦術を学びたいと言う。使者の名はアガフィヤ・ヤロスラヴナ。ノヴゴロド公の娘だった。
 アガフィヤはバトゥにつき従い、戦の方法を学ぶと共に、バトゥには新鮮な物の見方を与える。バトゥがハンガリーを破った頃、モンゴルのカラコルムでは、ドレゲネの暗躍もあってグユクが新カンの地位に就いた。祝いの席に着いたアガフィヤの父・ウラジーミル大公が暗殺される。表向きは病死とされたが、グユクの態度は大きくなるばかり、とうとうバトゥに対して軍を動かし始める。
 大きくなった帝国は、親戚同士での殺し合いという、それまでのモンゴルではなかった風習を生み出した。バトゥはグユクの暗殺を決意し、アガフィヤにその役を頼む。それはアガフィヤとの別れとなった。…
 
 う~ん、ファイアーエムブレム(笑)。
 小前さんの作品を読むのは初めてです。どこの新聞だったかな、書評欄で誉めてあったのを見て予約しました。
 奥付欄の著者紹介を見て何だか納得。田中芳樹さんの弟子筋(?)に当たる作家さんなんですね、確かにすごく雰囲気似てる。主人公がストイックな所とか。「地図製作 らいとすたっふ」の文字に、何だか口許がにやけてしまう(笑)。
 この後、バトゥはどうなったのかな、アガフィヤはどこへ行ったのかな。モンケの弟のクビライってのがクビライ・カンのことでしょうか、この弟は兄の後、どうやってカンの地位に登りつめたのか。モンゴルってこんなヨーロッパの方にまで攻めて行ってたのね~。
 何だか色々教えて頂きました(笑)。