読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

金曜のバカ 越谷オサム著 角川書店 2010年

 短編集。
 ネタばれになってるな、すみません;

 金曜のバカ
 学校帰り、カナはオタク男に襲われた。習い始めた護身術で撃退したものの、男は金曜日ごとに待ち伏せして来る。回を重ねるにつれ強くなっていくオタク男を、カナはさらにねじ伏せる。
 引き籠り男は女子高生に一目ぼれした。勢い余って襲ってしまったものの、彼女に投げ飛ばされてしまった。でも彼女にはまた会いたい。男は本屋でバイトを始め、格闘技の書物を読みあさる。

 星とミルクティー
 妻が破水した夜、妻の身も産まれて来る子供の身も案じながら病院に駆けつける。「僕」が思い出したのは高校三年の夜、獅子座流星群を見た河原の土手で出会った中学生の少女のこと。今夜も流れ星が流れていたから。

 この町
 元日の夜、高校一年の「おれ」は松山駅にいた。今日から三泊四日、マミと東京へ旅行に行く。これを機会にマミとはもっと親密になる予定、クラスの鉄道愛好家にアリバイも頼んで準備は万端。こんな田舎はさっさと抜け出して大都会へと繰り出すのだ、愛着を持つ連中の気がしれない。

 僕の愉しみ 彼女のたしなみ
 恐竜オタクの「僕」は、それが原因で中学の時好きだった女の子に退かれてしまった経験がある。高校生になって気になる女の子ができて何とか恐竜博に誘えたけれど、こんなところでまた熱弁を奮って彼女に嫌われる訳にはいかない。でもその様子が却って彼女の気に触ったらしい。

 ゴンとナナ
 七海は吹奏楽部をやめた。同じホルンのパートで後輩にずっと上手いヤツが入って来たから。顧問の教師もどちらを選抜するか悩まず済んでほっとした様子、引き止めもしなかった。ただ唯一、七海に戻って来るよう話しかけるのが当の本人。彼はどうやら七海を好きらしい、部活をやめて飼い犬ゴンの散歩をしている七海の後をついて来る。その彼をまた追いかける後輩女子もいる。
 老犬ゴンには見える駆け引きも、七海にはまだ判らないらしい。まだまだ幼い七海、でもきっといい出会いはあるよ、だってゴンにもミイがいたから。…

 うん、この人は男の子を書くのがいいなぁ。反対に言うと、女の子は書けてない(爆!)。
 表題作『金曜のバカ』とかありえないから。いくら能天気な女の子だって、自分を襲ってきた男と妙な友情を育むとか出来ないと思うから。白昼いきなり見知らぬ男に襲われる、と言う恐怖をどう理解しているのやら。「男の子が書いた女の子」なんだよねぇ。
 その分、男目線で書く話は妙に面白い。例え下心満載の『この町』でも、最後には「仕方ないねぇ」で笑えてしまう。でも一番よかったのは『僕の愉しみ 彼女のたしなみ』かな。『ゴンとナナ』は、老犬持ってくるのはちょっとルール違反ですよ(笑)。
 ただ、この表紙はどうかなぁ。女の子はセーラー服ではなくブレザー着てた方がいいと思うし、妙にたくましいし、デッサン微妙に狂ってるし。いかにもCGで描きました、って絵が私の好みじゃないだけかもしれませんが、もうちょっとなぁ;