読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

V.T.R. 辻村深月著 講談社ノベルス 2010年

 『スロウハイツの神様』に出て来る作家、チヨダ・コーキのデビュー作。…と言う体を取った作品。

 怠惰な生活を送るティーのもとに、三年前に別れた恋人、極上の美女アールからかかってきた一本の電話。
「アタシの酷い噂や嘘をたくさん聞くことになると思う。ティーにだけは知っておいて欲しいと思って。アタシは変わってない」
 街に出たティーが友人たちから聞くアールの姿は、まるで別人のように痛々しく、荒んだものだった。
 情報屋のテッド、喫茶店のオーナーで盲目の元女流画家S、その恋人で銃職人のJ、心理学者でセラピスト、アールの親友の引き籠りA、アールに惚れていた医者Y。皆に借金をし、Aからは依存性のない合法麻薬トランス=ハイをありったけ持ち出し、Yの元へは自分が売春させていた女の子を連れ込んで治療させている。
 彼女が狙っていたのは伝説の殺し屋『Trance High』。この国に千人しかいない合法殺人許可証マーダーライセンスを持つ生まれながらの殺し屋。今は本人は一線を退き、その代わりのようにファミリーを設立して殺し屋稼業を代行させている。
 誰もが言う、彼女にこんなことはやめさせろ。彼女を探して説得しろ。ティーは言う、彼女がそう望むなら。二人で行った湖へ行く、二人で行ったロボット廃棄場所へ行く。そこにいた旧式ロボット・ペロッチは、彼女のVTRを記録していた。…

 辻村さん、スロースターターだなぁとは常々思っていたのですが、何だか原因が判った気がしました。
 状況や設定をさり気なく説明する、ってのがあまりお上手ではないんだわ。だから長くなっちゃうのね。
 宮部みゆきさんのSFやファンタジーがもう一つなのはやはりこのせいだと私は勝手に思ってるんですが、辻村さんもちょっと大変だなぁ。この特異な状況設定、アールの行動理由がよくわからなくてですね; トランス=ハイの正体とかは気付かなかったと言うかそこに興味がわかなかったと言うか(←こらこら;)。
 いや、この頃仕事の方でちょっと心がすさんでてですね、どの話も素直に読めなくなってるなぁと反省しきりなんですが、これも正直あまり…。
 ファンの方ごめんなさい;