読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

GOSICK―ゴシック―  桜庭一樹著  角川文庫  2009年

 初出は2003年、富士見ミステリー文庫

 前世紀初頭、ヨーロッパの小国ソヴュール。極東の島国から留学した久城一弥は、聖マルグリッド学園の図書館塔の天辺で、奇妙な美少女・ヴィクトリカと出会った。
 小柄な体躯、見事な金髪、エメラルド・グリーンの瞳。周囲に小難しい本を読み散らし、パイプたばこをぷかり、ぷかりとくゆらせる。日々退屈を持て余す彼女は、小憎らしい口をききながら久城に面白い話をせがむ。例えば同級生から聞いた怪談・海を彷徨う〈QueenBerry号〉の話、近くの村で密室の中殺された占い師ロクサーヌの話。その状況を聞いただけで、ヴィクトリカは犯人を言い当ててしまった。
 それは全て貴族出身の警部グレヴィール・ド・ブロワの手柄になった。憤慨した久城は警部に詰め寄り、週末ヨット遊びを約束させる。いざ当日、何だかんだで結局ほったらかしにされた二人は、ヨットの中でロクサーヌ宛の招待状を発見。死んだロクサーヌの代わりに豪華客船に乗り込むことに。
 〈QueenBerry号〉と言う名の船には、二人の他に9人の大人が招待されていた。出された豪華な食事は眠り薬入り、目覚めた時には誰かが増えて12人に。
 二人以外の10人は異様に怯えている様子、どうやらこの状況に覚えがあるらしい。明りが消えた一瞬で書かれた壁の血文字<野兎よ、走れ!>の言葉を見て、皆悲鳴をあげて廊下に飛び出す。所が、扉を開けた瞬間にボウガンの矢が一人の眉間に突き刺さった。それがこの夜の連続殺人事件の始まりだった。
 荒れた海へ救命ボートで乗り出した6人がまず死ぬ。残った5人は助けを呼ぼうと無線室へ向かう。合間合間に十年前の事件が語られる。国籍も年齢もばらばらな孤児11人は、何故客船の中に集められて殺されなければならなかったのか。どうやらその生き残りが、復讐として今回の〈QueenBerry号〉を作りだしたらしい。それは高級官僚のモーリスなのか、英国俳優のネッドなのか、黒髪の美女・ジュリィなのか、それとも他に船の中に潜む人物がいるのか。…

 桜庭さん、ライトノベル活用してるなぁ!(笑) こう言う国籍不明の設定の自由な作品は、ライトノベルならではですよね。大人向けではやはり難しい。
 何となく、桜庭さんのエッセイの文章を思い出しました。どことなく幼い、独特の文章。でも書かれているのは血生臭い復讐譚なんですけどね。現在でも過去でも、人はばんばん死ぬしねぇ。 連想したのは浦沢直樹『モンスター』の一場面。孤児院だかで子供たちが殺しあうエピソードがありましたよね。
 これから話はどんどん展開していくようですが、それを解説でネタばれされてるのがちょっと興ざめ。…確かに復刊ですけどもさ、もうちょっと気を付けて書いて欲しかったなぁ(ふぅ;)。