読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

青空の卵 坂木司著 東京創元社 2002年

 坂木司デビュー作。
 外資系の保険外交員をしている「僕」坂木司と、引きこもりのプログラマー鳥井真一との友情を軸にした連作推理短編小説。

 夏の終わりの三重奏:
 鳥井真一は、小さい頃母親に捨てられたこともあって、人との交わりが上手くできない。中学で彼に出会った「僕」坂木司は、いじめられている彼に付け込んで友達になった。鳥井はそのままひきこもりになり、プログラマーとして生計を立てている。坂木は彼の世界を広げてやろうと思いながらも、自分以外の人間が彼と親しくなることに寂しさも覚えている。
 月曜日の午前中、坂木と鳥井はスーパーで食糧買出し中に、巣田香織と言う美女に出会う。喧嘩腰で坂木たちに接しながらも、結局親しげに話しかけてくる香織。その頃近所では、男性ばかりを狙うストーカー犯罪が噂になっていた。ある夜、何者かに後をつけられていると訴える巣田を保護した坂木。鳥井はその話を聞いて、巣田香織に激怒する。

 秋の足音:
 盲目の青年・塚田基と知り合った坂木。高校生の頃バイク事故で失明したと言う彼は、双子の男女が毎日自分の後をつけているようだ、それを確認して欲しい、と坂木に頼む。果たして男と女、一人ずつが塚田を尾行していた。眼の見えない塚田を心配しているらしいその様子に、鳥井は、尾行者は塚田に危害を加えるつもりはない、と断言する。そして、隠し事をしているのは塚田の方だとも。

 冬の贈りもの:
 歌舞伎役者・安藤純の元に、不思議な贈り物が来る。亀の剥製に伊豆の貝殻細工、珊瑚でできた五重の塔と真珠でできた招き猫、象牙の青龍刀。ファンだと名乗る無記名の手紙が後追いするように届くものの、安藤に心当たりはなく、友人の塚田も気味悪がっている。坂木の顧客・江戸簪職人の木村栄三郎も巻き込んで、鳥井は贈り物の意味を見抜いてみせる。

 春の子供:
 まりおと名乗る子供を保護した坂木。離れて暮らす父親を訪ねて来たらしいが父親は不在で、本人は言葉もあまり喋れない様子。暇つぶしにと絵を描かせれば、まりおは黒服の男の顔を真っ赤に塗り潰す。虐待を疑い心を痛める坂木に、鳥井は真相を説明する。そのためには、精神のバランスを崩すほど不仲な父親と和解しなければならなかったけれど。

 初夏のひよこ:
 中川夫妻が家庭料理の店を開いた。坂木は嫌がる鳥井の尻を叩いて、開店祝いにかけつける。ひきこもりの鳥井には、それも大きな成長だった。…

 この作品から読んでたら、私坂木さんの性別迷わなかったなぁ。だってこれBLじゃん(爆!)。別のペンネームで既にBLレーベルからデビューしてました、とか言われても私疑いませんわ。主人公の二人の関係があざといあざとい(笑)。もうくっついちゃえば、と何度思ったことか(苦笑;)。坂木にもし彼女ができたら、「私と鳥井くんとどっちが大事なの!?」とか言われて、で坂木は鳥井を取るんだろうなぁ(笑)。鳥井にとって坂木は唯一の友達で、世間への窓口で、依存しているんだけど、実際は坂木の方が鳥井に頼られることで自分を保っている。新井素子さんがデビュー当時、女の子同士の同じようなテーマの作品出してなかったっけ。
 推理小説としてはちょっと発想飛んでないかい、無理がないかい、と思ったり。おまわりさん、個人情報喋りすぎだし(笑)。「よく喋る」ってのは登場人物全般に言えることですが。
 何だかんだで楽しかったんですけどね、ごはんもお茶もお菓子も美味しそうだし(←え、そこ?・笑)。この作品、男の人はどう読んでるんだろうなぁ。