読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

DZ ディーズィー  小笠原慧著  角川書店  2000年

 第20回横溝正史賞受賞作。
 少しネタばれになってるかなぁ、すみません;

 ペンシルバニア州ジョンズタウンにて、ゾリンジャー夫婦が自宅で殺された。眠っている所をハンマーで撲殺された後、死体は冷蔵庫に入れられていた。5歳になる養子・デイビッドの姿が見当たらない。幼児誘拐、強制わいせつ。嫌な言葉が流れる中、子供の周囲にいた人物が次々に不審な死を遂げて行く。かかりつけだった医師、坊やを世話したことがあるソーシャル・ワーカー。だがこれらの出来事が結び付くには、十年の月日が必要だった。
 分子生物学を学ぶ石橋直洋は、恋人・涼子を日本に置いて、ボルチモアに留学していた。帰国時期が迫っても思うような成果が挙げられず焦る中、ヴェトナム人学生のグエンから、共同研究を持ちかけられる。優秀なグエンに引っ張られ、次々に分裂成長していく受精卵に夢中になる石橋。だがグエンが調達してくる卵が、チンパンジーのものではなく、どうやら人間のものらしいと気付いた時、石橋は何者かに殺されてしまう。
 グエンと婚約していた産婦人科医のヤンもまた、グエンが不妊治療に心血を注ぐ様を異常に思う。免疫抑制剤を使ってまで胎児を守ろうとするグエン。不信感が募る中、退職した老刑事・スネルがヤンを訪ねて来る。スネルは自分の現役最後の事件となったゾリンジャー夫妻殺人事件と、行方不明になったデイビッドをまだ追っていた。ヤンの家に呼ばれたスネルはヤンに銃で撃たれ、ヤン自身も乱暴の後を体に残したまま自殺する。ただ、そのあまりにも凝った偽の証拠に、かえってグエンが犯人であることが証明されてしまう。
 日本へ逃げるグエン。目的は涼子の勤める障害児施設、そこに入っている特殊な遺伝子を持った少女・沙耶。論文で沙耶の存在を知ったグエンは、涼子を通じて沙耶に近付いて行く。グエンに惹かれる涼子、だがやがてグエンの目的に気付いてしまう。スネル元警部もグエンを追って日本まで来た。雪の中、グエンは沙耶を連れて施設を逃げ出す。後に何人もの死体を残して。…

 綾辻行人さんのエッセイ集でべた褒めされているのを見て、読みたくなった作品。
 …実は挫折しかけました;
 私にとってホラーのような作品でしたよ;; 始め三分の一くらい、石橋が死ぬ辺りまで何とか読んだのですが、そこで気分が落ち込んで来ていったん中止。間に何冊も別の本を挟んで、借り出し期限の延長もして、漸く続きを読み始めたらあら不思議。残りはするする読めてしまいました。私にとって「怖い」「痛い」場面は設定説明の部分だけだったようです。…いや、「読み飛ばす」と言うコツ(?)を掴んだのかも(苦笑;)。
 犯人が誰か、と言うような作品ではないんですね。でもちょっと推理小説としてはアンフェアかな、と思いつつ。エピソードをあちこちちょっとずつかじって放り出してる気もしなくはない。…ってのは私の思い過ごしでしょうか。最後、もうちょっと盛り上げてくれたらな~。ばたばた急いだ感じがしました。「進化した人類」「普通の人間が虫けらに見える」みたいな所は、吉田秋生の「夜叉」を連想したり。
 ところで、この題名『DZ』はどこから来てるんでしょう。…本書内に説明あったっけ、私そこ読み飛ばしてるのか、しまった;;