読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ランナー あさのあつこ著 幻冬舎 2007年

 ネタばれになるかなぁ、ネタばれとか言う雰囲気の作品ではない気がしますが、とりあえずすみません、粗筋書いてます;

 加納碧李(あおい)は高校一年生。母・千賀子が離婚したのをきっかけに、千賀子の郷里の高校に進んだ。入部した陸上部で長距離ランナーとして監督の箕月に目をかけられる碧李。だが秋の大会以降、走るのを止めてしまう。千賀子が血の繋がらない幼い妹・杏樹に、暴力を振るう現場を見てしまったから。
 杏樹は父親の弟の子。両親が交通事故で死んでしまったのを引き取って、一緒に暮らしていた。父が浮気して去って以来、杏樹に父親の面影が見える、と暴力がおさまらない。自分の行為に苦しみ、でもどうしようもない母の様子に、碧李は自分が杏樹を守ろう、と部を止めて杏樹につきそう。
 碧李を心配する箕月監督、監督に思いを寄せる前藤杏子マネージャー。詳しい事情は分からないながら、碧李に部に戻って来るよう声をかける久遠。腰を痛めてもう走れない久遠に指摘され、碧李は自分が杏樹のことを建前にして、実は走るのを怖がっていたことに気付く。
 誕生日に自転車を欲しがる杏樹。走る碧李の傍を走りたいと言う。陸上部に戻った碧李は日常から逃げるように走り込むが、以前のように走ることが楽しくない。その頃千賀子は夫に、杏樹を引き取ってくれと頼んでいた。…

 この頃、女性作家が「走る少年」を描く、ってのが流行ってたのかしら。それぞれ書き方が違うもんですねぇ。
 千賀子の葛藤を振り切るラスト。主人公は結局、碧李ではなく千賀子だったような…。
 一応は決着が着いた形ですが、これから大丈夫なのかなぁ。これでもう二度と杏樹には当たらない、って割り切れるものでもないでしょうし。杏樹が二人の家族に愛されていることを、自覚しているのが救いです。
 碧李の走る恐怖については、何だか中途半端なままのような…。まぁ、見通しは明るそうですけど。