読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

やどかりとペットボトル 池上永一著 河出書房新社 2006年

 沖縄県石垣市で育った著者のエッセイ集。
 
 …よくこんな小さい頃のこと覚えてるなぁ。私、幼稚園に行く前のことなんてまるで覚えてないわ;
 小さい頃に抱いていた数々の誤解、「卒業とはそれまでの交遊を絶つこと」「乗り物には武器が搭載されている」「サンタクロースは偏愛に満ちて存在している」「気を失うと違う世界に来る」「電話をかけるには免許がいる」etc.
 何しろお母様が強烈。近所のオバァも凄いし、多少誇張はあるんでしょうが、何だか池上さんの書く女性の原典を見る思いでした。
 石垣島の原色の世界から東京へ来て、桜や紅葉の色彩に驚いたこと。霞む遠景に日本画を思い、憧れていた雪を見てがっかりする。自分の琉球人としてのアイデンティティに誇りを持つ。湧きあがる雲に音楽を聞く。
 沖縄の年中行事を読むと、あそこは本当に日本じゃないなぁ、と思ってしまう。ベッテルハイム氏のことが書かれてたりして、『テンペスト』の原型が見えるのも嬉しい。
 確かに、台風が来たら経済活動は休んだ方がいいと思います。…そうできたらいいんだけどねぇ;
 それにしても、紀宮さまって美食の姫君だったんだ。おたくらしい、ってのは聞いたことあったけど。
 作家さん全般に言えることなんでしょうが、物の見方が独特ですね。からっとやさぐれてる感じ、でも素直(笑)。目から鱗だなぁ、と何度も思いました。池上さん、新鮮な感動をありがとう!(笑)