幸せな食卓 遠藤淑子著 白泉社ジェッツコミックス 2006年

　売れない演歌歌手大潮千波とその子供たちを描いた連作短編集。
　友人祥さんにお借りしました、祥さんいつもありがとう♪

　酔っ払うと気が大きくなって、人の借金まで肩代わりしてしまうほど人のいい大潮千波は売れない演歌歌手。借金まみれの貧乏生活でも千波には楽しい。だって三人の子供はしっかり元気に育っているから。
　長男の晋は中二。婚約相手の連れ子。肝心の相手は結婚式当日、ご祝儀を持って行方をくらまし、以来千波と暮らしている。
　長女の悠里は小三。作家の宮岡史朗との間の子。宮岡は浮気症で相手をとっかえひっかえふらふらしている。
　末っ子の譲二は5歳。千波の兄・進一の子供。進一が嫁にも逃げられ子供を放置しているのを見て、たまりかねて引き取った。
　マネージャーの北島も加わって、5人の生活はばたばたと慌ただしい。チンピラになった進一が借金取りの代わりに家に押しかけて来たり、スカウトされた晋をTVで見て父親が名乗り出て来たり。悠里の同級生の男の子の家に泥棒が入ったこともあるし、千波が元ホストのタレントとデュエットを歌うことになったことも。
　歌が売れなくても男にほだされかけても、みんな揃って食卓を囲めば幸せ。晋の作るごはんは美味しい。

　書き下ろし『そのほかの食卓』と、
　戦争に勝つため妖怪の元に花嫁として送られた王女の生活を描いた読み切り『おとぎばなし』も収録。

　遠藤さんの作品は久しぶりに読みました。…やっぱり面白いなぁ。
　絵は相変わらず（…；）なんですが、この人漫画家になってなかったら、舞台やTVの脚本とかやってたかもしれない。そちらでも大成しただろうとは思うんですが、でも、白泉社さん、遠藤さんを漫画家にしてくれてありがとう♪　漫画って総合芸術だもんなぁ。