読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

狼と香辛料Ⅴ  支倉凍砂著/文倉十イラスト  メディアワークス電撃文庫  2007年

 『狼と香辛料』シリーズ5作目。
 ネタばれあります、すみません;

 テレオの村を出て一週間。ロレンスと狼神ホロは、ホロの伝承が直接残る港町レノスを訪れる。
 レノスは毛皮の名産地。だが冬の異教徒討伐遠征が中止になったことで在庫がだぶつき、外地商人にも毛皮を卸すかどうかでもめていた。あっさり外に流してしまうと、地元の加工職人の仕事がなくなってしまう。それが通例になるといずれ町は廃れるだろう。町の代表を集めた五十人会議が決定を下そうとしている瞬間に、ロレンスたちは居合わせてしまった。
 そんな中、偶然同じ宿にいた行商人・エーブがロレンスに儲け話を持ちかけて来る。エーブは元々石像を商う商人。教会に聖母像を納めていたが、これも遠征の中止で土産物としての価値を失い、教会から一方的に取引中止を言い渡されてくさっていた。五十人会議は外地商人に、現金のみでの毛皮購入を認める予定だと言う。普通なら外地商人はそんなに大金を持ち歩いてはいない、だから毛皮の流出は抑えられる筈だったが、今回は強力な後ろ盾が外地商人についている。きっと毛皮は買い占められる。それに乗じてエーブも毛皮を買って大儲けし、これを機会に町を出ようかと思っている。だが現金が足りないから、ロレンスにも一口乗れと言う。
 エーブの提案はまだ続く。そんな大金がすぐ用意できないなら、ホロを担保に奴隷商人から金を借りればいい。貴族の娘と偽ればいくらでも買い手が付くから、かなりの額を借りられるだろう。
 この取引に成功すれば、莫大な儲けになる。夢だった店も手に入り、一所に落ち着いた商売ができる。迷うロレンスの、ホロは後押しをする。念願を叶えて、ここで楽しすぎる旅を終えよう、と言い出す。
 毛皮職人と加工道具を扱う商人が武装蜂起する不穏な空気の中、ロレンスはこのあまりにも旨い話の裏側を知った。エーブと教会との石像に見せかけた塩の密売、口封じ。教会を敵に回す商売は危なすぎると手を引くロレンスに、エーブは襲いかかる。…

 いきなりホロとロレンスのいちゃいちゃが増えたなぁ、やっぱり読者はこう言うのを望んでるのか、と思ってたらきちんと伏線でした。あまりにも楽しい時間にもやがて飽きがくることが、何百年も生きているホロには分かっているから、今この時別れようと切り出す。…なるほどねぇ。
 ホロとロレンスの間には一応の決着がついたものの、商売の方は中途ですね。お金はエーブに持ち逃げされたまま、次の巻はこの続きからになるんでしょうか。生い立ちも相まって、悲壮な決意で金の亡者になったエーブ。放り出されたままは嫌だなぁ、行く末知りたいです。