読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ひげよ、さらば 上野瞭著 理論社 1982年

 ナナツカマツカの丘に縄張りを持つ、野良猫たちの叙事詩

 ナナツカマツカの丘、池のほとりで三毛猫のヨゴロウザは目を覚ました。名前以外の何も覚えていないヨゴロウザの前に片目猫が現れ、何かと世話を焼いてくれる。過去を思い出したいヨゴロウザに、そんなことは気にするな、これから生きていくために、俺の計画に協力しろと言う。
 野良猫たちの住むナナツカマツカを、狙っている奴らがいる。乱暴者の野良犬ハリガネの群れや、慎重なタレミミの率いる群れ、キバを中心とする野ネズミたちの群れ。対抗するためには野良猫も共同体を作るしかない。だが自由気ままな猫たちにはまるでそんな危機感はなく、片目の主張も空回りするばかり。共同体などいらないと言うかけごと猫、歌い猫、占い猫、大泥棒、なぞかけ猫、なげき猫。作るならリーダーは自分だと言う黒ひげ、オトシダネ。賛同者は学者猫しかいない。片目は、誰も行かない野良犬たちの縄張りアカゲラフセゴに自分とヨゴロウザが偵察に行く代り、ヨゴロウザをリーダーと認めろと言う。
 アカゲラフセゴの墓地でハリガネたちに追われ、片目ともはぐれて三重塔に閉じ込められたヨゴロウザ。夜中、塔を住処にしていた大蛇オオウネリにも襲われ絶体絶命で飛び出すが、その結果ハリガネたちとオオウネリを戦わせることになり、ハリガネたちはオオウネリに殺されてしまう。
 その様子をタレミミは見ていた。タレミミはヨゴロウザをもてなし、お前がリーダーになるなら猫たちと話し合いを持ってもいい、邪魔になる他の猫を殺してもいいと申し出る。
 ナナツカマツカへの帰り、名なし猫と出会うヨゴロウザ。名なし猫は何故かヨゴロウザを襲い、死闘を繰り広げる。ヨゴロウザは片目を失う大怪我を負い、町中に住むさがし猫に助けられる。
 ヨゴロウザを兄貴と慕うさがし猫。ヨゴロウザといると退屈しなさそうだと、ヨゴロウザの怪我が癒えてから共にナナツカマツカを訪れる。ヨゴロウザは暴君となり野良猫たちに訓練を施すが、猫たちは反発するばかり。ヨゴロウザは次第にマタタビに溺れて行く。
 さがし猫は片目に、ヨゴロウザを立ち直らせるよう頼む。その間にもタレミミの部下がナナツカマツカの偵察にやって来た。まず元ハリガネの手下の野良犬たちに猫たちを襲わせた後、自分たちが乗り込んでくる。二手に分裂させられ、ヨゴロウザたちは六角堂に閉じ込められる。雪の降る中、必死で屋根の上にしがみつくヨゴロウザたち。歌い猫が救いの枝を差し向ける中、学者猫が屋根から落ち、犬たちに殺されてしまう。
 残りの犬たちはもう一派の猫たちの協力により追い払えたものの、学者猫が死んだショックで、片目は現実逃避するようになる。学者猫は生きていると言い張り、ヨゴロウザの区別さえつかない。犬たちとの戦い以来、宝物殿で寝泊まりするようになった野良猫たちを、再度タレミミたちが襲う。猫たちは宝物殿に籠城するしかなかった。
 犬たちが去った後、やがて春になり、猫たちは宝物殿を出て行く。片目はヨゴロウザに、一緒に新しい世界へ旅立とう、と話しかける。…

 いつか読もうと思いつつ、あまりの分厚さに手を出しかねていたこの作品。いざ借りてみたら予約本が次々回って来て、時間に追われつつ読む事態になってしまいました。しまったなぁ、もっとじっくり読む作品だったよなぁ。時間に追われると、ヨゴロウザが夢でうなされたり白昼夢を見たり、ってあたりがゆっくり楽しめない。「話進まないかしら;」と飛ばしてしまうんですよね。
 登場動物(?)も多いので全部把握しきれず、「もういいや」と途中で覚えることを放棄したし。まぁそれでも何とかなりました。内容、結構ハードだったなぁ。
 タレミミたちの最期なんかはちょっとあっけなかったかな。夢が破れた片目の、最後の行動には驚きました。そこでようやくヨゴロウザの過去が明らかになって、ちょっとほっともしたり。…いや、このままなし崩しになるかも、とも思っていたので;
 いや、本当、時間かけてじっくり読むべき作品だったなぁ。反省します;;