読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

つくもがみ貸します 畠中恵著 角川書店 2007年

 連作短編集。

 江戸の深川、小さな古道具屋兼損料屋の出雲屋には、付喪神がたくさんいる。蝙蝠の形をした根付けの野鉄、煙管の五位、掛け軸の月夜見、櫛のうさぎ等々。この頃は厚かましくなってきて、店を切り盛りしている姉弟・お紅と清次の目の前でも平気でお喋りに興じる有り様。今日もまた、貸し出しから返って来た道具たちが、その家の噂話を始めた。…

 『利休鼠』:
 仲町の料理茶屋・松梅屋で、清次はさる大名家の冷飯食いの次男坊・佐久間勝三郎を紹介された。この程本決まりになった蜂谷家への婿入り、持参金替わりに先方から贈られた鼠の根付けが行方不明になったと言う。賊に襲われ、奪われかけた途端に根付けが走り出したとか。長年探している香炉『蘇芳』の情報を得るために、行方探しに協力するお紅と清次。大名家、蜂谷家に貸し出された道具たちは、それぞれ見聞きしたことを喋り始めた。どうやら縁談相手・蜂谷家の早苗には、好いた男がいたようだ。…

 『裏葉柳』:
 鶴屋に幽霊が出るらしい。料理屋として開店する直前だと言うのに、若い主人は一向に気にする様子がない。家を売った大久間屋は幽霊が出ることを知っていたのか。幽霊が自分の想い人に似ている、と主張する香炉・裏葉柳が鶴屋に貸し出される。
   …数年前のSARS騒ぎ、スーパースプレッダー(…でよかったっけ??)を思い出しました。
   大久間屋、反省することないんだよなぁ。

 『秘色』:
 鶴屋に来た客が、『蘇芳』の噂話をしていたらしい。その相手・浅川屋の案内で、梅島屋を訪れる清次。飯田屋にあった香炉がどうして部屋から消えたのか、そのために意に染まない相手との縁談を進められそうになって出奔してしまった飯田屋の長子・佐太郎はどこに行ってしまったのか。浅川屋は何故香炉を探す清次に協力してくれるのか。清次はとりあえず、香炉の在り処に気付く。
 
 『似せ紫』:
 飯田屋佐太郎は、日本橋古道具屋小玉屋の娘・お紅に惚れている。だが住吉屋の娘・お加乃との縁談を親に勝手に進められている状態。お紅がお加乃に負けない才覚を持っていることを示して欲しい、と細工物の櫛を置いていく。わらしべ長者の要領で段々いい品にとりかえて行ったのも束の間、小玉屋は火事にあい、焼け出されたお紅は親戚筋の清次の家に引き取られて行くことに。丁度その頃、佐太郎の部屋から香炉『蘇芳』が消えて、佐太郎はますます追い詰められていた。…
   …80両もの香炉『三曜』を簡単に割ってしまう佐太郎にむっかり。職人さんが思いを込めて作った
   もの、清次が苦労して手に入れたものをあんなにあっさり壊しちゃうの??じゃあ自分で稼いでみ
   ろよ、って佐太郎、それをやっちゃうんだよなぁ。

 『蘇芳』:
 飯田屋佐太郎が帰って来た。上方の叔父の家に身を寄せて、小間物屋として成功して戻って来たらしい。なのに何故かお紅に顔を見せることなく、叔父と共にまた行方不明に。どうも以前割った『三曜』の代わりの香炉『七曜』を探しているようだ。複雑な想いを抱きつつ、清次は佐太郎を探す。…

 最終話、啖呵を切るお紅の声が、何故か雪野五月さんの声で聞こえて来ました。…ってまた分かる人の少ない感想を…(笑)。
 う~ん、話そのものは面白かったんだけど、何か引っ掛かる。
 お紅がどうもなぁ。初めのうちは佐太郎を好きなのかと思ってたんです。だったら山本周五郎の『柳橋物語』だわ、遠距離恋愛の三角関係やん♪と思ってたのが、何だか様子が変わって来まして。段々お紅に振り回される清次が可哀想になってきました(苦笑;)。そもそも最初からお紅がはっきりした態度取ってたら良かったんじゃん、妙にムカつく(笑)。
 付喪神の可愛らしさは好きなんですけどね、波津彬子さんの『雨柳堂夢咄』みたいで。…う~ん、何か残念;