小学五年生の「私」吉野静枝は、「恋」ってものがわからない。クラスメイトの明日香から「好きな人って、だれ?」と訊かれても何だか腹が立つばかり。なのにとなりのクラスの立花君から告白されてしまった。その場から思わず走って逃げ出して、「私」は誰もいない小さな神社に駆け込む。低いうなり声みたいな不気味な声が聞こえる境内で、「私」はマコマと名乗る不思議な少年と出会う。
マコマは千年前の平安時代の少年。歌をまつる神官の家柄に生まれたが、ある日神社の林の中に迷い混んで出られなくなったのだと言う。姿は勿論、言葉すらも交わせるのは静枝一人。親友の美和も健太も、彼の存在は見えない。
マコマには自分しかいない、と静枝は毎日のように神社に通う。現代の生活を知りたがるマコマに、細々した日常を語ってみせる。五歳年上の姉・夏実が親の言いつけに逆らって、長い髪を切ったり結んだりするのを嫌がること、クラスメイトのエミのひいおばあちゃんが、山の中の病院から「今青い海を白い船が走っているのを見た」と電話をかけてきたこと、藤原先生のペット・トカゲのフィリップが誘拐されてしまったこと…。
4000以上もの歌を覚えているマコマは、その状況にぴったり合う歌を思い出して静枝に真相を示唆する。…
マコマは千年前の平安時代の少年。歌をまつる神官の家柄に生まれたが、ある日神社の林の中に迷い混んで出られなくなったのだと言う。姿は勿論、言葉すらも交わせるのは静枝一人。親友の美和も健太も、彼の存在は見えない。
マコマには自分しかいない、と静枝は毎日のように神社に通う。現代の生活を知りたがるマコマに、細々した日常を語ってみせる。五歳年上の姉・夏実が親の言いつけに逆らって、長い髪を切ったり結んだりするのを嫌がること、クラスメイトのエミのひいおばあちゃんが、山の中の病院から「今青い海を白い船が走っているのを見た」と電話をかけてきたこと、藤原先生のペット・トカゲのフィリップが誘拐されてしまったこと…。
4000以上もの歌を覚えているマコマは、その状況にぴったり合う歌を思い出して静枝に真相を示唆する。…