読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

贋作『坊ちゃん』殺人事件 柳広司著 朝日新聞社 2001年

 第12回朝日新人文学賞受賞。
 夏目漱石の『坊ちゃん』を下敷きにした創作。

 『坊ちゃん』の小説から三年後。「おれ」は東京で街鉄の技手をしていて、偶然山嵐に出会う。三年前、自分たちが天誅を下したあの後すぐ、赤シャツが首を吊って死んだらしいと聞いたおれは、山嵐と共に再び四国に向かう。赤シャツにくっついていた野だこと吉川は気が狂って癲狂院に入って、日がな一日首を吊った赤シャツと、それを見ているマドンナの絵を描いている。聞き込みを続ける二人に、以前自分が思ってもいなかった証言が飛び込んでくる。芸者たちは角屋に赤シャツは来なかったと言うし、首吊り現場の島へ行く舟を借りに来たのはマドンナだった。山嵐もうらなりも嘘を吐いているようだし、体育の先生・黒ズボンは政府の間諜だったらしい。
 社会主義者と民権運動家とのぶつかりあい、それが三年前の出来事の裏側を暴いていく。病院に毎日のように届く「きちがいなすび」の花、きな臭い時代を背景に、真っ直ぐにしか事態を見ていなかった坊ちゃんにも真相が見えて来る。…

 あちこちで評判の『百万のマルコ』、うちの図書館では何故か見当たらず(…;)、とりあえず同じ作者の一番古い本を借りてみました。
 告白します。私、『坊ちゃん』読んだことありません(爆!)。一応粗筋くらいは知ってるので何とかなりましたが、これ、本当に読み比べたらすごいんだろうなぁ。ホームズシリーズを曲解した『わが愛しのホームズ』(あれ、題名違うかも;)にも感心しましたが、これもよくここまで深読みしてお話作り上げたとも!
 死体の運び方はちょっとどうよ、とは思いましたが(あんな運び方したら、その後いくら首吊り自殺に偽装しようとしても無理だと思う)、まぁ見所はそこではない、と言うことで。
 …しかし、いい加減新しい作家さんに手を出すのやめようや、私; またリストが増えて行くわ;;