読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ダーシェンカ カレル・チャペック著/伴田良輔監訳 新潮文庫 1998年

 日本での初出は1996年、本国東ボヘミア(現在のチェコプラハでは1933年出版。
 チャペックの作品は学生時代、『R・U・R』読んで以来です。初めて「ロボット」と言う言葉が使われた作品、と知って当時手を出しました。ロボットが有機体だったのに驚いた覚えがあります。
 世界中の犬たちと、そして犬に手を焼き、それでも犬がかわいくてたまらないすべてのひとたちに贈る愛犬ノート。…なんだそうですが。
 違うよ、これ。全ての犬じゃないよ。作者、フォックステリアにしか興味ないよ(笑)。もっと言うと、自分が飼ってるフォックステリア、ダーシェンカしか(笑)。
 元々飼っていたフォックステリア、イリスに産まれた雌の子犬・ダーシェンカ。作者はもうめろめろ、写真は撮るわスケッチはするわ、おとぎ話まで作って聞かせる犬馬鹿っぷり(笑)。
 このおとぎ話が本当よくできてて、昔話によくある「それ以来、○○の××はこうなりました」の形をきれいに踏襲してます。ドラゴンや巨人を倒した代わり、尻尾の先を切られてしまい、以降フォックステリアは尻尾を切ることになったとか、その切られた尻尾の先を探して今でも地面を掘る話とか。テリアに斑が出来たのは悪魔と遊んでしまったから。フォックステリアって、口の中にまで斑点があるんですね~。
 神様がちゃんと骨と肉と毛から創った犬はフォックステリアとピンシャーだけ、神様が目を話した隙にグレイハウンドは骨だけから出来たしブルドッグとボクサーは肉だけ、毛からはセントバーナードとプードル、ペキニーズが出来ました。ようやく戻って来た神様は余った材料(?)でダックスフントをつくりました、って、テリアとピンシャー以外の犬を飼ってる飼い主はあまり気分よくないんじゃないかなぁ。
 こんなに可愛がってたダーシェンカも、貰われていくんですよね。作者、よく手放す気になりましたねぇ。