読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ラスト・イニング あさのあつこ著 角川書店 2007年

 『バッテリー』のサイドストーリー二本。短編と中編、一本ずつ収録。

 『マウンドへと』
 本編ラスト、新田東と横手二中との練習試合直前の様子。試合に臨む各人の思いを描く。

 『白球の行方』
 横手二中の瑞垣俊二を主人公に据えた中編。
 あの試合から二ヶ月。門脇秀吾は推薦で決まっていた野球名門校を蹴り、地元の私立校に通っていた。瑞垣は野球部の無い進学校・城山高校に進学する。門脇と言う天才を見続けてきた瑞垣には、もう野球を続ける意思は無い。だが、思い出すのはあの最後の試合、原田巧の投げた白球と不遜なまでの永倉の態度。昔の仲間・唐木や新田東の海音寺、妹の香夏にまで発破をかけられ、瑞垣は門脇の家を訪れる。そこに横手二中の野球部監督・阿藤が現れた。…
 
 今回は瑞垣くんが主人公。キャラ立ってたもんなぁ。
 私はあのラストで良し、と思っていたので試合の結果は知りたかったような知りたくなかったような…(苦笑;)。
 『バッテリー』と言う話は、誰より作者が熱い作品だと言うのが私の印象です。自分の思いを誤解なく伝えたくて、でも適切な言葉が見つからなくて、その周りをぐるぐる回っている感じ。それが登場人物の境遇とリンクして相乗効果になった。いわゆる“あさの節”が一番プラスになった作品だと思ってます。ただ、今回、二本目の主人公は瑞垣くん。…瑞垣くんにはこの文章、くどいんじゃないかな~。
 原田巧と言う強烈な個性の人間に、周りのみんなが振り回され、変わって行く。普通は主人公が変わって行くものなんですけどね(笑)、マイペースの瑞垣まで巻き込まれてしまいました。何か、まだまだ続編出そうな雰囲気です(笑)。
 今回、佐藤真紀子さんのイラストは無いのね~。
 栞紐が青白二本ついてるのが何だか嬉しかった一冊でした。