読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

中庭の出来事 恩田陸著 新潮社 2006年

 舞台は都会の真ん中、隠れ家的なホテルの中庭。一人のベテラン女優が新進気鋭の若手女優と待ち合わせていた。先日毒殺された脚本家・神谷華晴の犯人は誰なのか、その殺害方法は。二人の会話が不穏な空気を醸し出した頂点で、ベテラン女優は毒殺される。
 やはり同じホテルの中庭で。ベテラン女優と中堅所の演技派女優が待ち合わせていた。二人の会話が不穏な空気を醸し出した頂点で、ベテラン女優は毒殺される。
 男性二人が廃線路の上を歩いている。今は劇場として使われている古い駅舎に着くまで、二人は色々な話をする。憎い女を庇って偽証する女の話、血の繋がらない姉の話、劇場に出る幽霊の話、吹き抜けのある地下街の喫茶店で心臓発作を起こした若い女の表情の話。
 ホテルの中庭で。脚本家・細渕晃は楠巴と待ち合わせた。新しい舞台劇の構想を聞いてもらい、意見を聞く。脚本家が殺され、オーディションを受けた3人の女優が容疑者に上がるという内容。ベテラン女優・平賀芳子、中堅の小劇団出身演技派女優・甲斐崎圭子、芸能一家のサラブレッド女優・槇亜希子。実際の女優たちへの取調べと、彼女たちの演じる一人芝居とが交錯する。
 数々のエピソードが関連して行く。徐々に判明する入れ子構造、虚実入り交じってラストへ繋がる。どこまでが芝居でどこまでが実際にあったことなのか。…

 裏『チョコレートコスモス』(笑)。初出ケータイ文庫だそうで、恩田さん色んな仕事してますね。
 読み終わった後、もう一度読み直したくなりました。…て言うか、私読んだし(笑)。よく繋げたなぁ。これ、実際上演してみたい役者さんいるんじゃないかしら。
 中に出てくる文章、「TVでも、人気劇団でも、時々お客に対する甘えを感じる時がある」ってのはよくわかるなぁ。内輪受けになってたりして、それが許容範囲超えてる時あるもんね(苦笑;)。
 恩田さんの達者さが確認できる一冊でした。うん、面白かった。