読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

銃とチョコレート 乙一著 講談社ミステリーランド 2006年

 怪盗ゴディバが世間を騒がせ、子供たちみんなが探偵ロイズに憧れていた頃。
 リンツは移民の父デメルと母メリーの間に産まれた。貧しいながらも三人仲良く暮らしていたが、父は肺の病で死んでしまう。元気な頃、父が露天商から買った聖書には、不思議な地図が挟まっていた。地図に描いてあった人の横顔が怪盗ゴディバに盗まれた「英雄の金貨」とそっくりなことに気が付いたリンツは、報奨金と探偵ロイズに惹かれて手紙を出す。「これは怪盗ゴディバの盗んだ宝の隠し場所ではないのか…?」。やがて本当に探偵ロイズが助手ブラウニーと共にリンツの街へやって来た!
 おじいさんに変装したり冴えない画学生に扮したりするロイズの傍にいられて、嬉しくて仕方がないリンツ。だがロイズに預けていた地図は何者かに盗まれてしまう。一歳上の乱暴者ドゥバイヨルはその真犯人を見抜き、銃と地図を盗んで逃走。リンツはドゥバイヨルに同行、追われる立場になる。
 リンツは怪我をしたドゥバイヨルを連れて、一度も会ったことのない祖父を訪ねる。故郷を戦火に焼かれて逃れ、妻を亡くし、父と仲違いした祖父。祖父とのささやかな交流も束の間、探偵ロイズとブラウニーがメリーを人質に乗り込んできて、地図を奪って行ってしまう。
 地図の示す場所・ヴィタメールを突き止め、その風車小屋へ向かうロイズたち、それを追うドゥバイヨルとリンツ。ドゥバイヨルは宝を目指し、リンツは母を救いに街のホテルへ向かう。宝は本当に風車小屋にあるのか、怪盗ゴディバの正体とは。…

 面白かったあ。今まで読んだミステリーランドの中で一番好きかも。
 乙さんが無国籍物書くとこうなるんですね~。
 内容結構ブラックですよね、暴力沙汰はあちこちにあるし、主人公は手ひどく裏切られるし、人種差別が絡んでたりするし。何となく連想したのは『ダレン・シャン』。あれもいかにも「男の子が書いたお話」だったので。
 推理小説なんだけど、冒険物の要素の方が強い感じ。風車小屋でのクライマックスはどきどきはらはら、一気に読みました。
 さりげなくお母さんかっこいい。リンツも、散々酷い目に会いながらも、最後には人を救う。…いい話でした。