読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

乱鴉の島 有栖川有栖著 新潮社 2006年

 火村と有栖川のシリーズ、久々の長編。

 日々の雑務に追われ、お疲れ気味の火村助教授。下宿のお婆さんに薦められて、孤島の民宿で休暇を過ごすことになった。だが、数々の行き違いから全く別の島・黒根島―通称烏島―に来てしまう。そこには最愛の妻・八千代を亡くして以来、すっかり浮世を離れて隠遁生活を送っている孤高の文学者・海老原瞬と、彼を慕う人々が集まっていた。初めは招かざる客として露骨に嫌がられる有栖川達だが、親戚の子だと言う拓海と鮎が二人に懐くと、いきなり大人達の態度が軟化する。そのうちオタクにして若きカリスマ経営者・初芝真路まで島にやってきて、海老原ファンの一人でもある不妊治療の大家にしてクローニング技術の第一人者・藤井継介に自分のクローンを依頼する。翌日、島の空き家で管理人の木崎の撲殺死体が、崖下の洞窟で初芝の遺体が発見される。閉じられた空間で、誰が二人を殺したのか。海老原を中心に、何故人々は集まったのか。…

 わーい孤島だ孤島だ、しかもヒロインの名前が八千代さんってまるで横溝正史じゃん♪と喜んだのですが…何でこんなに時間かかったんだろう? とにかく進みませんでした。子供を含めた二人のやりとりは面白かったんですが、でも、有栖、こんなにアホやったっけ…??(←失礼;)
 トリックとしては短編か中編向きだったんではないかしらん。それを無理に引き伸ばすから有栖が見当はずれの推理を披露しまくることになったのでは…。作者が拘った〈秘密〉は、このトリックには向いてない気がして仕方ありませんでした。