読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

葉桜の季節に君を想うということ 歌野晶午著 文藝春秋 2003年

 「俺」成瀬将虎は、地下鉄のホームから飛び込みを図った麻宮さくらを助けた。さくらは借金で首が廻らなくなり、自殺を考えたと言う。付き合って行くうち、「俺」はさくらに惹かれていく。同時期、後輩のキヨシを通じて、彼が憧れているお嬢様・久高愛子から「俺」はある調査を依頼される。久高家の前当主・久高隆一郎の死と「蓬莱倶楽部」と名乗る高価な水や蒲団を売りつけ、高齢者を食い物にしている販売会社と関わりがあるのかどうか。隆一郎は家族の知らない保険を多数掛けられた上、轢き逃げされていた。「俺」は妹をつれて蓬莱倶楽部の主催する無料体験会に参加したり、掃除夫として本社を捜索したり大忙し。そのせいでなかなかさくらと会えず、あらぬ誤解を受けて弁明に大わらわ。
 同時進行で、将虎の過去…ヤクザ組織に潜入した折の、覚醒剤の運び屋が腹部を内臓が飛び出るほどメッタ刺しされた事件や、パソコン教室の生徒であり友達でもある安藤士郎の娘への思い、蓬莱倶楽部にいいように利用されて犯罪に手を染めて行く古屋節子の罪が語られる。やがて、全てのエピソードが一本に繋がる。…

 歌野晶午作品は初めて読みました。何かこの作品はあちらこちらで噂になっていたので気になって。
 出だし、語り手でもある主人公のナルシストっぷりにちょっと退きましたが、慣れてしまえば後は一気でしたね。ラストはきっちり騙されたし(笑)。最終章がだらだら長過ぎやしないかい、とも思ったけどまぁそこはご愛敬。…しかし、身体機能については、自然に任せて枯れて行ってもいいやんか、と思わないでもない(笑)。いや、話は本当、面白かったです。