読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

エンド・ゲーム~常野物語 恩田陸著 集英社 2006年

 少しネタばれになるかもしれません、すみません;

 大学四年の拝島時子は常野の一族。密かに特定の存在と戦っている。「それ」が見えると、オセロ・ゲームの様にお互いに「裏返し」あう。父親は10年以上前、「それ」に裏返されて失踪してしまった。以来、母の暎子と二人で暮らしている。
 12月のある日、社員旅行先で暎子が倒れる。こんこんと眠り続ける暎子を見て、「裏返された」と思う時子。狼狽の中、時子は電話を掛ける。もしもの時があったら掛けるよう言われていたある電話番号に。そして時子は「洗濯屋」火浦と会う。火浦は時局はもう終盤で、戦うことは意味がない、「洗濯屋」である自分が全ての記憶を洗い流してやる、と言う。火浦と共に暎子を「呼び戻し」に行く時子。暎子は裏返されたのではなく、一族の者に「包まれて」いた。精神的な共通の安息所で、時子や暎子は忘れていた過去を思い出し、父親(夫)と出会い、現実世界へ戻る。火浦に洗われて、新しい生活を送り始めた母娘二人。平穏で心安らかな毎日が送れる筈だった。…

 …訳分からん粗筋だな(苦笑;)。でも私の実力では今はこれが精一杯(笑)。
 精神世界の争いなので、言葉遣いが独特です。醒めない夢の中をずっと走っているような感じ。ベースに低く怖さが流れてて、この話はどこへ辿り着くんだろう、とページをめくってしまう。ラストはやっぱり曖昧で、消化不良な人いるだろうな~。私はもう慣れました(笑)。
 暎子が過去を回想する。学生時代の自分を「懐かしい愚かさ。いとおしき愚かさ」と表現する。自分の娘を「あたしよりもずっと几帳面で仕事が丁寧だ」と誇らしい気持ちで見つめる。この人の細やかで的確な描写は、私は好きです。