読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

月に繭地には果実 福井晴敏著/富野由悠季 矢立肇原案 幻冬舎 2005年

 初出は2001年。アニメ「ターンAガンダム」のノベライズ作品。

 正歴2343年。月からロランたち三人の少年少女が地球に降りてきた。かつての大戦争で地球全土が死の世界と化したため、月都市に逃れて地球の再興を願った人々の子孫である。地球では、どこにも逃れず地球に残って細々と生き残った人々の子孫、主に農耕を営んで生活していた地球人に紛れて暮らし始める。それはいずれ訪れる月人《ムーンレィス》の地球への帰還への前準備でもあった。
 二年後、月都市からムーンレィスが移住を希望して降りてくる。すっかり文明の退化していた地球人から見れば、それは侵略にしか見えない。月の女王ディアナは友好的に交渉をしようとするが、結局軍部の暴走を許してしまう。また、それに呼応するかのように石像と化していたモビルスーツが動き出し、地球側の戦力として数えられる。封印された歴史の旧遺跡から次々と武器・兵器が掘り出され、交渉のカードとして使用するはずだったものが、結局戦争を始める人々に使われる。正確な知識もないまま核兵器を使い、毒ガスまで撒き散らしあう。月本国も決して一枚岩ではなく、まどろっこしいディアナのやり方に反発し、強制的に地球人を支配・排除しようとする一派がディアナの暗殺を企んでいた。身内の敵を討ち、急ぎすぎた地球への移住を考え直そうと、ディアナはロランたちを連れて月本国へ戻る。だが、ディアナの考えは誰からも受け入れられなくなっていた。月から地球まで巻き込んだ大量破壊が始まる。やはり歴史は繰り返されるのか。…

 …とにかく時間がかかりました。福井さんだから大丈夫だろう、と思ったのは甘かった; 決して面白くない訳じゃない、アニメ見てなかったせいですね、人物だの地名だのモビルスーツ名だの戦艦名だのを把握するのが大変でした; ガンダム名物(?)「相手の艦をコードネームで呼ぶ」ってのも生きてるから、その分覚えることは増えてくし。ビジュアルから聴覚から全て使うアニメと活字とでは情報量違うんだなぁ、とつくづく感じてしまいました。
 ノベライズということで作者本人の考えがどこまで反映されているのか判りませんが、「過去を認知し、その上でよりよい未来を開くためにも」って辺りの文章とか、『Twelve.Y.O』や『亡国のイージス』にも共通するものがあるのかなぁ、と思ったり。
 「ガンダム」の名前を冠する必要があるんだろうか、と疑問に感じながら読んでたら、思わぬ所で繋がって「あ!」と驚きました。…そうか、成る程「ガンダム」だわ。