読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

キス・キス ロアルド・ダール著/開高健訳 早川書房 1982年

 ちょっとブラックな短編集。ネタばれあります、すみません;

『女主人』:ロンドンから田舎へ来た17歳の少年が見つけた下宿先の女主人は、40代の魅惑的な女性。
    部屋にはオウムやダックスフントの剥製があり、下宿名簿にはどこかで見た覚えのある男性の 
    名前二つ。女主人が淹れてくれたお茶からはアーモンド臭が…。
『ウィリアムとメアリイ』:支配的で抑圧的な夫は病没後、友人の薦めで脳味噌と目玉だけの存在に
    なっていた。妻は一週間後、遺書でその事実を知り、夫に会いに行く。
『天国への登り道』:飛行機や汽車など、乗り物に遅れることが嫌いな妻。どうやら夫はそんな妻に当
    てつけるように、わざと時間に遅れて行動を起こしているらしい。妻はとうとう堪忍袋の緒を
    切らす。
『牧師のたのしみ』:田舎を廻って隠れた名骨董家具を買い取っているボギス氏。ある農家でチッペン
    デールの整理箪笥を見つけ、安値で買い叩こうとするが、欲と無知とに泣くことになる。
『ビクスビイ夫人と大佐のコート』:浮気相手からプレゼントされたミンクのコートの言い訳をするた
    め、夫人は質屋に駆け込むが、夫の方が一枚上手だった。
『ローヤル・ジェリイ』:やっと産まれた赤ん坊の発育が悪く、妻は半ノイローゼ状態。養蜂を営む夫
    はローヤル・ジェリイをミルクに混ぜる。…赤ちゃんに食べさせちゃ駄目だよ、お腹壊すよ;
『ジョージィ・ポーギィ』:幼い頃の体験から女性恐怖症に陥っている牧師が、教区の女性達から迫ら
    れる。
『誕生と破局-真実の物語』:旅先で赤ん坊を産んだ女。これまで三人の子供を亡くし、異常なまでに
    怯えている。さて、この赤ん坊は。
『暴君エドワード』:偶然拾ってきた猫は、妻の弾くピアノ、特にリストの曲に反応する。妻は、この
    猫がリストの生まれ変わりだと言い始める。
『豚』:産まれてすぐ両親を亡くし、伯母に引き取られたレキシントンは料理に秀でた才能を見せる。
    17歳の時伯母が死に、初めて一人ニューヨークに出るが。
『ほしぶどう作戦』:ほしぶどうに睡眠薬を詰めて、雉子の密猟を企む二人。…

 どれも皮肉で意外な結末。面白いのですが、読み進んで行くうち、心が冷えてきてしまいました; 心の調子が悪い時には読まない方がいいな。うち一編でも「心暖まる」話が入ってたら印象違うんだろうけどなぁ。ジェフリー・アーチャーの短編集なら後味のいいのも入ってるのに。
 翻訳が妙な気がする。日本語ならこんな風には書かないだろう、って文章が結構ありました。訳者の解説は先に読まない方がいいです、ネタばれされてます。…畜生;