読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

金春屋ゴメス 西條奈加著 新潮社 2005年

 第17回新潮社主催日本ファンタジーノベル大賞、大賞受賞作。
 近未来。大金持ちの道楽から端を発した老人ホーム・江戸は、今や日本から独立し、国として機能していた。江戸時代の生活をそのまま再現した江戸国は自由な出入りも、人工物の持ち込みも許されない。300倍の難関を潜り抜け、大学生の辰次郎は入国を許可される。長崎奉行・馬込寿々-通称金春屋ゴメス-の元で働くことになった辰次郎は、致死率100%の疫病「鬼赤痢」の謎を追うよう命じられる。実は辰次郎は幼少の頃、この疫病に罹りながらも生還した、ただ一人の人間だった。感染経路や治療薬の味等、徐々に過去を思い出し始める辰次郎を、襲う人物が現れる。…

 この作品、「江戸国」と言う設定を思いついた段階でもう勝利ですね。電気すら使えない江戸国と、今より科学の発達した日本とを無理なく両立できる巧さ。
 患者を救う手立てがあるのに使えない、使うために日本へ出たら二度と江戸国へは戻れない。薬は基本的に生薬のみ。…でもブラジルからの生薬の輸入はできるのね~。味と効能の特徴で薬草の名前を当てられた自分を、ちょっと褒めてあげたい気分でした。…すみません、これ自慢です(笑)。
 同じ世界を舞台にして、続編とか出そうだなぁ。この設定以外の作品を、ちょっと読んでみたい感じです。