読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

陸王 池井戸潤著 集英社 2016年

 ネタばれあります、すみません;

 勝利を、信じろ。足袋作り百年の老舗が、ランニングシューズに挑む。このシューズは、私たちの魂そのものだ!

 埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。日々、資金操りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のためにある新規事業を思い立つ。これまで培った足袋製造の技術を生かして、「裸足感覚」を追求したランニングシューズの開発はできないだろうか?
 怪我で一旦第一線から引いたマラソン選手茂木、世界的スポーツブランドアトランティスは彼のサポートを切る決断をする。反発したシューフィッター村野はアトランティスを辞め、スポーツインストラクター有村を通じて こはぜ屋と出会う。こはぜ屋を担当していた銀行マン坂本は、靴底の新素材として死蔵特許品だった「シルクレイ」を紹介し、その開発者飯山が顧問としてプロジェクトに参加、就職浪人中だった宮沢の息子大地はその手伝いをすることに。靴のアッパー素材には、坂本の後任 大橋からの伝手でベンチャー企業タチバナラッセルの新素材の使用が決まった。
 だが、茂木の復帰が皮肉にもアトランティスの妨害行為を誘発することに。タチバナラッセルが引き抜かれ、悪いことにシルクレイの製造機械も壊れてしまった。シルクレイを地下足袋に転用するという発想で上がっていた利益でも新規機械製造資金は賄いきれず、銀行からの融資も断られた。
 ランニングシューズ製造開発を続ける資金はない。茂木へのサポートも打ち切らなければならない。そこに坂本はこはぜ屋売却の話を持ってくる。シルクレイにほれ込んだ海外アパレルブランド フェリックスの傘下に入れば、開発が続けられる。だが、足袋の製造はいずれ無くなるなるかもしれない。宮沢はフェリックスに、業務提携としての融資を依頼する。…  (帯文に付け足しました)

 こんなに分かり易い悪役はなかなかないよなぁ、アトランティス。選手へのサポート打ち切りとかはともかく、他メーカーの業務妨害までするか?、ちゃんと本職頑張れよ、と疑問は浮かびつつ。
 面白かったです。誠意、情熱で人と人が繋がり、仲間が増えて行く。不貞腐れて根性が曲がってた人も、打ち込めるものを得ていい方に変わっていく。銀行が「こんなメーカーありますけど」って企業同士を紹介して繋げていく、なんて初めて知りました。坂本さんより不熱心な大橋さんもやってたから、職務の一環なんですね~。大地くんは一流メーカーに就職決まるし、よかったよかった。真面目にやってる人が報われる、ってのはやっぱり気持ちがいいです。
 ドラマにもなってましたよね、放送中はミズノさんがえらいバックアップしてましたっけ。どっちかって言うと、ミズノさんは「世界的スポーツブランド」の方だと思うけど(笑)。