読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

惑星カロン 初野晴著 角川書店 2015年

 ハルチカシリーズ第5弾。連作短編集。
 ネタばれになてるかもしれません、すみません;

 チェリーニの祝宴 ―呪いの正体―
文化祭が済んで、チカは今、新しいフルートが欲しい病に取り憑かれている。中古楽器屋で見つけた総銀製、模様入りのフルートは、店長曰く、呪いのフルートなんだとか。ただその呪いはあまりにもスケールが小さくて、チカはそのフルートを呪いごとレンタルしてみせる。果たして、「呪い」の正体は…。

 ヴァルプルギスの夜 ―音楽暗号―
公園で、藤が咲高校吹奏部部長岩崎と出会ったチカ。岩崎は山辺への紹介をチカに依頼する。解いて欲しい音楽暗号があるのだとか。幽霊部員の間で流行っているその問題は、自称OBから送られているもので、岩崎は何か不穏なものを感じている。山辺さんだけではなく、芹澤さん、ハルタ、チカや軽音部、合唱部の知識まで総動員して、漸く解けたその暗号の内容は。

 理由(わけ)ありの旧校舎 ―学園密室?―
ある朝、旧校舎の鍵という鍵が全部開けられていたという事件が起きた。旧校舎は文化部のクラブハウスとして使用されており、しかも大半はブラックリストに載る問題生徒の集まり。元生徒会長日野原にねじ込まれて渋々調査することになったチカとハルタは、前日、三年生の合同引退式に何かあったらしいと踏んだが、どうもそれだけではなさそうだ。

 惑星カロン ―人物消失―
試験の合間の土曜日、息抜きにショッピングに出かけたチカは、セレクトショップで倉沢あゆみという中学生と知り合う。あゆみはフルートをやっていて、アンサンブルコンテストに日本のオリジナル楽曲『惑星カロン』を使うつもりだという。作曲者に許可を取ろうとメールでの連絡を重ねるうち、彼女は窓口となっていた作曲者の息子 新藤誠一に恋してしまった。
楽曲演奏のコツまで伝授してくれる彼に、何とかお礼をしたいあゆみ。誠一はそれに対し、とある都市伝説、現代版「オルレアンの噂」を解くことを提示する。ハルタ達の協力を得て正解を導き出したあゆみに、メールの相手は対面を認めた。その場には、何故か草壁先生の姿もあった。…


 『ヴァルプルギスの夜』というと『魔法少女まどか☆マギカ』を真っ先に連想してしまう今日この頃。それ以前なら『小さい魔女』(プロイスラー)だったと思うんですけどね。
 あれ、こんなに登場人物の会話が軽妙洒脱だったっけ?と思ってしまった第5弾。いや、「話、先に進めようや…」と思った箇所がない訳ではないんですが、妙に楽しんでしまいました。番町皿屋敷のお菊さんに「どんま~い、といってあげればいいじゃない!」には思わず笑ってしまいました。かと思えば、「一年しか一緒にいられないけど、大事にする」って言葉に、ちょっと胸を突かれたり。
 現代版「オルレアンの噂」の解答には、ちょっと強引ではないかしら、と首を傾げましたが、コンピューターでの人工人格やら予測変換やら、なかなかに今日的なテーマで面白かったです。音楽暗号も、へぇ、こんなのがあるんだ、って興味深かったですし。
 さて、草壁先生はどうやら大切な人を亡くした様子、それも人工人格に頼ってしまおうかと思うほどの。でもそれではカバーできないことが分かってしまいました。さて、続きは出るのかな。追い付いちゃったみたいだからなぁ;