初恋の少女の面影を思いおこしながら、主人公・野々村は種子島へ一人旅行する。目的は鉄砲の伝来、その昔教師の余談で聞いた、鉄砲鍛冶職人が「鉄砲の片端を塞ぐ技術」を得るために自分の娘をポルトガル人に差し出した、という言い伝えを確かめに行くため。
確かにかの地にその物語はあった。ロマンチックに脚色された恋愛譚、だが帰りに寄った鹿児島にも、似たような伝説とその娘の墓があった。
偶然旧友から聞いた天正遣欧使節のエピソード、コロンブスが新大陸からもたらした負の遺産。野々村の頭の中で、一つの幻想が形作られる。
そして夢の中、初恋の少女の面影を宿した娘が、彼に語りかける。
「私はこの眼でリスボアを見たのよ」…
確かにかの地にその物語はあった。ロマンチックに脚色された恋愛譚、だが帰りに寄った鹿児島にも、似たような伝説とその娘の墓があった。
偶然旧友から聞いた天正遣欧使節のエピソード、コロンブスが新大陸からもたらした負の遺産。野々村の頭の中で、一つの幻想が形作られる。
そして夢の中、初恋の少女の面影を宿した娘が、彼に語りかける。
「私はこの眼でリスボアを見たのよ」…
お正月休み前、何てことはなく借りた一冊。
…面白かったです。あくまで想像に過ぎないのに、哀しい一人の娘の生涯がまざまざと浮かび上がって来ます。もう切ないこと切ないこと。
あの時代に生まれなくて良かったなぁ、と女の身としてはしみじみ思ってしまった。
いやぁ、思った以上に引き込まれました。…とか言ったら作者に失礼かしら; 阿刀田さん、安定感凄いわ。
…面白かったです。あくまで想像に過ぎないのに、哀しい一人の娘の生涯がまざまざと浮かび上がって来ます。もう切ないこと切ないこと。
あの時代に生まれなくて良かったなぁ、と女の身としてはしみじみ思ってしまった。
いやぁ、思った以上に引き込まれました。…とか言ったら作者に失礼かしら; 阿刀田さん、安定感凄いわ。