読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

赤い指 東野圭吾著 講談社 2006年

 ネタばれ、になってるかな、すみません;

 中学生の息子・直巳が小さな女の子絞殺した。死体は自宅の庭に放置されたまま、直巳はふてくされた様子でゲームに没頭している。前原昭夫はそんな息子に苛立ち自首を勧めながら、結局は妻・八重子の要望に従い、死体の隠蔽に奔走する。深夜、近くの小さな公園の公衆トイレに死体を運ぶが、女の子の服には庭の芝生がついたまま。案の定、翌日には刑事が聞き込みに来て、庭の芝生を採取して行った。
 犯行現場がここだとばれるのは時間の問題、昭夫は最後の手段に出ることにする。認知症が酷くなった母に、罪を着せようと言うのだ。
 何度も来た刑事に、一世一代の告白をする昭夫。だが、加賀と名乗る刑事は、どうも真犯人は直巳だと悟っている様子。コンビを組んでいる従弟・松宮と共に、昭夫や直巳を追い詰めて来た。
 加賀が昭夫の嘘を見破った理由とは。認知症の母親の、秘められた思惑を見抜く加賀。加賀自身にも、死期の迫った父親との確執があった。…

 長いことこの本を読む勇気が出なかったのは、この作品が「かなりやり切れない話」だという噂を聞いていたから。でも予約本はなかなか回って来ないし、丁度書架には並んでるし、えいや、と手に取りました。
 …加賀刑事ものだとは思わなかった。
 かなり身構えて読んだためか、それほど落ち込みはしませんでした。それでも犯人の中学生はかなり腹立たしかったし、家族の厄介事から逃げまくった夫・昭夫も無責任な奴で、妻・八重子も「そこまでする?」ってくらい厭な性格でした。でもこの昭夫の目の背け方は、世の男性方はかなり身につまされる人もいるんではないかしら。
 でもそんなヤな人ばかりが出てくるのに、ページを捲る手が止まらない。ぐいぐい読まされてしまう。東野さん、やっぱり巧いわ、としみじみ思いました。
 後味は恐れていたほど悪くはありませんでしたね、相当覚悟してたせいかしら(笑)。加賀刑事のお父さんに対する態度の理由も解ったし。でも引っ越しの荷物の処分の仕方は、もうちょっと考えてもいいんじゃないかとは思いましたが。単に加賀さんが、過去に拘らない人だったと言うだけなのかな(苦笑;)。
 今さらですが、面白かったです。ベストセラーだけのことはあるなぁ。