読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

武士道シックスティーン 誉田哲也著 2007年 文藝春秋

 ネタばれというか、粗筋ほとんど書いてます、すみません;

 磯山香織は中三女子ながら武士道を歩んでいる。愛読書は『五輪書』、毎日鍛錬を欠かさず、斬るか斬られるか、生と死の世界に生きている。
 ある日香織は、全中準優勝の結果に満足できず参加した市民大会で、東松学園の甲本なる少女に一本取られてしまった。彼女の剣道はのらりくらり、まるで勝つ気がないような太刀筋。どうして自分が負けたのか納得が行かない。香織は甲本を追う形で東松学園高等部に入学する。
 「甲本」は西荻早苗という剣道部員だった。人懐っこくのほほんとした性格、剣道は中学になってから始めたが、元々日舞をしていたせいか独特の足捌き。父親の事業の失敗や裁判での敗訴、両親の離婚などを経験して、勝ち負けを忌避するようになった。剣道が好きだからやっている、勝敗に関係ない価値観を持ちたいと言う早苗の言葉に香織は激怒する。
 先輩を先輩とも思わない態度、言葉遣い。他の部員からの評判はすこぶる悪いが、香織は強かった。関東大会の団体予選、先鋒として快進撃を続ける。だが二回戦の後で早苗と言い争った結果、階段から落ちて左手首をひどく捻挫する。三回戦は何とか突破したもののそのまま気絶、補欠として登録されていた早苗が代わりに先鋒を務める。四回戦と準々決勝を突破、関東大会本戦への出場資格を得る。
 相変わらず早苗には一方的に突っかかる日々。だが早苗の中学時代の話を聞き、香織の兄が剣道を辞める原因になった岡巧の試合を見て、香織は迷い始める。自分がずっと「勝ちたい」と思って来たものは何だったのか。勝ち続けてどうなるのか。迷いは剣にも表れ、香織は試合に勝てなくなる。部活に出ることも辞めてしまった。周囲の人たちのアドバイスもあって香織は自分を見つめ、自分が何を憎み拘っていたのかを知る。
 早苗は香織を横浜市民秋季剣道大会に誘う。自分が勝ったら部に戻れと言う早苗に、しぶしぶながら香織は頷く。
 11月新人戦、三月全国大会。東松学園はベスト4まで勝ち進んだが、早苗は自分の両親が寄りを戻したこと、転校することを香織に告げる。…

 誉田さんの作品を読んだのは初めてです。
 これ、主人公二人を男の子でやられたら、きっと腐女子心をくすぐられたなぁ(笑)。三浦しをんさんの言う『高めあい成長しあえる対等な俺たち』ってこれにあてはまりますよね。
 香織の極端な性格も凄いインパクト。コメディちっくで済むかと思いきや、暴力沙汰にまで行ってしまうとちょっと眉を潜めましたが、あれ、自分が怪我に強いからなのね~。
 早苗の始めの方の台詞「私と同じ価値観にならなくてもいい。でも、違う道があることは認めてほしい」は私も時々思うんですが、これってある意味上から目線なのかもなぁ。
 「好きって気持ちと、勝負の不安を天秤にかけるんだ。…好きだって気持ちの方が重たかったら……そのときはもう、やるしかないんだよ」。これぞ青春小説、王道ですね!(笑)
 紅白二本の栞紐もいい感じ♪
 これで十分完結してると思うんですが、…続編が出たんですよね? ちょっと不安、でも予約するぞ~!