読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦著 角川書店 2006年

 デビュー4作目。黒髪の乙女と、彼女に密かに恋した大学生「私」の、涙ぐましい努力を記した連作短編集。
 山本周五郎賞受賞、直木賞候補作品。…立派になったね、モリミー(笑)。

 五月の終わり。大学のクラブのOB・赤川先輩と東堂さんの結婚祝賀会がお開きになって、「黒髪の乙女」は夜の木屋町を歩き出す。とにかくお酒が飲みたくて入ったバーで、錦鯉を生業にしている中年男・東堂さんにナンパされる。歯科衛生士の羽貫さんや天狗の樋口さんと知り合い、「詭弁論部」の送別会にもぐりこんだり、詭弁論部のOBたちの還暦祝いの席に同伴したり。東堂さんの借金をちゃらにするため、李白さんと偽電気ブランを飲み比べして幸せな気分。「私」は彼女とニアミスしながら夜の京都を徘徊する。…『第一章 夜は短し歩けよ乙女

 夏のお盆、下鴨神社の納涼古本まつり。彼女と偶然を装って出会い、一緒にラムネを飲む妄想に耽りながら参加した「私」。人混みの中彼女を見つける所か一人の少年に絡まれる。その傍らで、彼女は樋口さんと再会し、「古本市の神」と名乗る少年に会い、懐かしい絵本を探している様子。私は彼女の絵本を手に入れるため、李白さんが主催する大勝負に参加する。…『第二章 深海魚たち』

 晩秋の文化祭。「韋駄天コタツ」が現れ、ゲリラ演劇「偏屈王」が話題をさらう文化祭を楽しむ彼女。射的で手に入れた大きな緋鯉の縫いぐるみを背負い、小さな達磨をネックレスがわりに林檎飴食べつつ象のお尻を触る。そんな目立つ彼女なのに、何故か私は彼女を見つけられない。何故かいつの間にやら「偏屈王」のヒロインを演じている彼女を追いかけ、私は屋上から飛び降りる羽目になる。…『第三章 御都合主義者かく語りき』

 12月、京都を風邪の神が跋扈する。羽貫さんが倒れ、樋口さんも寝込む。事務局長も、元パンツ総番長も、紀子さんも。しかし彼女は一人元気で、皆さんのお見舞いに回る毎日。風邪の大元が李白さんだと気付いた彼女は伝説の風邪薬「ジュンパイロ」を片手に、李白さんの元を訪れる。彼女は李白さんの咳に飛ばされ、やはり風邪をひいてその妄想で空を飛んでいた私と出会う。…『第四章 魔風邪恋風邪』

 第四章読み始めて驚きました。えっ、この恋叶うの、そんなの面白くないじゃん!(←こらこら・笑)。やっぱりこまごまと面白いですね、「恋に恋する乙女は可愛いこともあろう、だがしかし、恋に恋する男たちの、分けへだてない不気味さよ!」…世の殿方ごめんなさい、思わず笑ってしまいました(笑)。
 パンツ総番長さんと紀子さんの遠回りした上のハッピーエンド、いいなぁ。でもあんな願掛けはやめてほしい;
 初めてのデート、午後二時に家を出るために午前七時におきなければならなかった、って、まぁ初々しいわねぇ(笑)。荒唐無稽な話なんだけど、妙にリアルで微笑ましい(笑)。
 この装丁、可愛くていいなぁ。ちゃんと内容読んで出来た表紙、って感じ。…でも男の子さわやかすぎるかな(笑)。