東京の警備会社でポカをした「僕」西岡悟郎が飛ばされた転勤先は、山梨のド田舎だった。そこに居を構えた新興宗教団体「解放の家」と地元の人々が揉めているらしい。「僕」の仕事はその修行者たちの警備。と言っても設置された監視カメラを見張り続けるだけのようだ。
「僕」が修行場に着いたその日、教祖の籠もっていた祈祷堂が炎上する。同時に「僕」を、何か柔らかいものが突き飛ばす。そしてその日から、「僕」の頭の中に、別人格――彼女――が住み始める。
繰り返し見る自分が焼け死ぬ場面、その場で自分を見下ろす男の夢。それはおそらく「彼女」が死ぬ間際に見た光景。信者の一人・葉山晶子は、それは自分の母親である教祖・吉野桃紅だろうと言う。教祖は本当に殺されたのか、「彼女」は誰なのか。…
「僕」が修行場に着いたその日、教祖の籠もっていた祈祷堂が炎上する。同時に「僕」を、何か柔らかいものが突き飛ばす。そしてその日から、「僕」の頭の中に、別人格――彼女――が住み始める。
繰り返し見る自分が焼け死ぬ場面、その場で自分を見下ろす男の夢。それはおそらく「彼女」が死ぬ間際に見た光景。信者の一人・葉山晶子は、それは自分の母親である教祖・吉野桃紅だろうと言う。教祖は本当に殺されたのか、「彼女」は誰なのか。…