読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

与之助の花 山本周五郎著 新潮文庫

 短編集。ネタばれあります、すみません;

『恋芙蓉』:伊達政宗の長沼城攻めに加わった朱兜隊隊長・勘三郎は従妹の小菊に思いを寄せている。だが小菊が親友・鞆之助と恋仲にあることを知り、鞆之助をわざと戦場から外し、自分は討ち死にする。
『孤島』:鳥羽から大阪への船の中、曽根欣之助・夏江兄妹は仇討ちの相手・栖崎十次郎に出会う。だが船は台風にあい、三人は無人島へ流れ着く。敵であることも忘れ力を合わせて暮らして行くが、救助船が現れた段階で、栖崎は自分の腹を切る。
『非常の剣』:密貿易の見張り番所頭に任命された弦八郎。上司が揃って抜け荷の片棒を担いでいると知り、非常の剣をふるう。
『磔又七』:恋愛沙汰のとばっちりを受けて、仏師の又七は濡れ衣を着せられ、磔刑にされる。偶然難を逃れられて江戸を抜けだし、又七は15年掛けて五智仏を彫り上げる。
『武道宵節句』:桃の節句、貧窮から自殺を考えていた兄妹が、盗まれた父親の宝刀を探している兄妹に巡り会い、その手助けをして仕官の道を得る。
『一代恋娘』:水戸家の若君・吉孚に恋をした奈良屋伝右衛門の娘が、若君の側に仕え、吉孚の暗殺を知って代わりに毒杯をあおる。
『奇縁無双』:我が儘で武術自慢の藩主の娘を、無愛想な男・来栖伊兵衛が懲らしめる。だが、姫には姫でその我が儘には理由があった。
『春いくたび』:江戸末期、甲斐の国から京都に向かった少年を、ずっと待ち続ける香苗。四十年後、故郷に現れた老人は記憶を失っていた。
『与之助の花』:顕微鏡を作るため、藩主の蔵から望遠鏡を盗み出してしまう与之助。そこを丈右衛門に見つかって強請りを受ける。顕微鏡ができた日、与之助は丈右衛門を斬って自分も腹を斬る。
『万太郎船』:新しい船の開発に、身代を潰してしまう万太郎。それには元・手代の仁兵衛の裏切りなどもあったのだが、万太郎は船大工にとって大事なのはこの工夫だ、と言い切る。
『噴上げる花』:手押しポンプ式消化道具「竜吐水」開発にまつわる騒動。
『友のためではない』:藩内の破落戸・蒔田角之助を斬ってしまった会沢寅二郎。寅二郎の友・杉沼欣之丞は自分が角之助を斬ったと偽って切腹する。寅二郎への手紙には、友のためではなく、藩のためにはお前が必要なのだと認めてあった。
『世間』:現代小説。人から金ばかり借りていた悪田が、志摩と言う男と知り合って金を巻き上げられる話。悪田の言い種「貸方になるか借方になるか、人間の生き方は一つしかない」が実践される。…

 山本周五郎解禁、と言うわけでもないのですが、続けて借りてみました。
 昔は思わなかったんですが、山本周五郎作品って結構艶っぽいかも。女性の描写とか、実は色気あったんだなぁ。清廉なイメージあったんですが、何か意外でした。