読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

七年目の脅迫状 岡嶋二人著 講談社文庫 1986年

 ネタばれ少々あります、すみません;

 日本中央競馬会に脅迫状が届いた。指定されたレースで八百長をしないと、馬に馬伝染性貧血ウィルスと言う不治性ウィルスを接種する、と言う内容。本気にせず無視していたら、果たして北海道の牧場で二億円のサラブレッドが犠牲になった。事態が公になっては競馬界全体の信頼にも関わる、と警察の他に中央競馬会保安課員・八坂心太郎が勅命を受けて調査に走る。北海道で出会ったのは保険会社の調査課の男女二人連れ。そのうちの一人、堀佳都子は、お見合い相手として写真を見せられた相手だった。心太郎は、被害に遭った馬が保険に入っていた事、七年前にも同じ牧場で伝貧病が流行った事、その時に保険詐欺があり、主犯とその片棒を担いだ獣医師が行方不明である事を知る。送られてくる第二・第三の脅迫状、罹患し処理される馬たち。七年前の事件と今回は関わりがあるのか、あるとしたら同一犯の仕業なのか。心太郎と佳都子はお互いの情報を駆け引きしながら真相に迫る。…

 それぞれの犯人は違うんですが、相互に関係しあって一本の話になる。これは見事。それでも、馬を伝染病に罹らせる理由になるかなぁ。あくまで馬を商売道具として見なきゃ、競走馬育成なんてできないのかもしれませんが、あんなに簡単に処理されてしまうのは何だか心が冷えます;
 主人公(4年前に妻を亡くし、8歳の子供と二人暮らし)のお見合い相手が28歳の美人キャリアウーマン。「もっとも歳は二十八だそうですけどね。それは、でも、こちらとしても文句は言えないわね」の仲介者の弁に思わず苦笑。初出が1983年だとかで、20年前はこういうのが世間常識だったんだよなぁ、としみじみ思ってしまいました。…ああ、意識が変わって良かった(笑)。