読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

寝ずの番 中島らも著 講談社 1998年

 映画化されてましたね。らもさんの本はそこそこ読んでるつもりだったんですが、TVで流れてる宣伝見て「これは知らないなぁ」と借りてきました。短編集です。
 『寝ずの番』:上方落語の大御所、咄家橋鶴が76歳で大往生。通夜の席に集まった弟子達が師匠の思い出話を語り始める。…下ネタ、理不尽、マリファナ話まで大サービス。これ、松鶴師匠がモデルかなぁ。落語作家の小田先生、って(笑)。吉朝さんから聞いたエピソードが元ネタらしいんですが、どれもいかにも実話。爆笑させて頂きました。冒頭、女性器の呼称の蘊蓄があるんですが、そこで思い出したのが、先日TV番組「ちちんぷいぷい」であった角さんと渡辺淳一氏との対談。渡辺氏曰く、「日本には女性器の呼び名が少ない」「フランスでは何百とある」例えば“鳩”“暖炉”etc. …それ、比喩表現じゃないの? フランス人は誰でも“暖炉”ってったらそうだと思うの?? 例えなら日本にもいくらでもあるでしょう、その手の小説あまり読まない私でも“泉”だの“真珠”だの見たことあるぞ(苦笑;)。まぁ、スタジオで桂南光さんや井筒監督に「調査不足や」みたいな感じで突っ込まれてはいましたが(笑)、何か納得行きませんでした。
 『寝ずの番Ⅱ』:橋鶴の一番弟子、橋次が死んだ。享年51歳。通夜の席に集まった弟弟子達が兄弟子の思い出を語りあう。…今度はこの兄弟子がいかに「験の悪い」咄家だったかがメイン。これも実話が入ってるんだろうなぁ、全て同じ落語家さんのエピソードとは思えないんですが、ここまで来るとこれも芸のような気もしないではない(笑)。
 『寝ずの番Ⅲ』:橋鶴師匠の奥さん、志津子ねえさんが亡くなった。元芸妓のねえさんの枕元で、以前ねえさんに入れあげていた老人との春歌合戦が始まる。…これは三編中最も下品(笑)。ちょっと笑い辛い歌も(苦笑;)。最後はしんみり、いい歌で終わるのがさすが。
 『えびふらっと・ぶるぅす』:キャバレーでベースマンとして雇われた主人公。そこで今は用心棒として働いている幼なじみと再会する。数ヶ月後、酔っぱらって車にひかれ死んでしまった幼なじみの為に、バンドマン達は最高のステージを見せる。
 『逐電』:角界から逃げ、日本プロレス界から逃げてカナダでプロレスラーをしていた主人公が、熊やゴリラと戦うよう言われてまた逐電する話。…新日本プロレス全日本プロレスがどうしてできたのか判りました(笑)。
 『グラスの中の眼』:義眼のコピーライターが飲み屋でしこたま飲んで、悪ふざけをする話。
 『ポッカァーン』:これはエッセイですね。吉朝さんもわかぎえふさんも出てくるし。松尾貴史さんと升毅さんの確執(笑)に納得。そりゃやっとられんと思うわ(笑)。
 『仔羊ドリー』:小説家の主人公があまりの忙しさに、クローン人間を作って自分の仕事を肩代わりさせようとする。…これはオチが以外でした。
 『黄色いセロファン』:小学生の頃の、ぎょう虫検査の思い出。…これも半ばエッセイですね。今だったらこの先生の言動、絶対問題になってるな。
 らもさんも吉朝さんも亡くなってしまって、今さらながら残念で仕方ないです。…どちらも早すぎるよなぁ。