読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

幻夜 東野圭吾著 集英社 2004年

 ネタばれあります、すみません。
 阪神淡路大震災の夜は父親の通夜だった。不況の中、工場を閉鎖した上の自殺だった。保険金を無心に来た叔父は梁の下敷きになり、それでも生きていた。水原雅也は発作的に叔父を殴打、殺してしまう。その様子は新海美冬に見られていた。美冬は何故か雅也を突き出すことなく、共に東京に出て成功しよう、と持ちかける。その時から雅也は、美冬の目的のために動くこととなる。…
 美冬の正体はわからないままですかぁーーー!? 
 初めのうちは面白くて「うわぁ、途中でやめられへん」とか思っていたのですが、そのうち美冬のあまりの悪女っぷりに心が冷えてきました。この上昇志向はどこから来てるんだろう、せめて動機がわかったら、と思ってたのに結局美冬の過去は明かされないまま。…東野センセイ、それでは美冬に感情移入できませんっっっ; こんな女が書きたかっただけか、シチュエーション漫画ならぬシチュエーション小説かっ? それとも悪女に振り回される愚かな男が書きたかったのかっ? 読んでる側としてはどうしても主人公に肩入れしてしまうので、読後感すごく悪いんですけど~;
 今回のこの小説、私は何か宮部みゆき火車」の東野圭吾版、と言う気がしました。 
 東野さんの作品の中では私とはどうも反りのあわない小説があるようです。「殺人の門」も後味悪かったなあ。「秘密」は好きなんですが、「白夜行」も今ひとつ…。うまいから読まされちゃうんですけどね。