読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

空飛ぶタイヤ 池井戸潤著 実業之日本社 2006年

 136回直木賞候補作。

 走行中のトレーラーのタイヤが外れて歩行者の母子を直撃した。ホープ自動車が出した「運送会社の整備不良」の結論に納得できない運送会社社長の赤松徳郎。真相を追及する赤松の前を塞ぐ大企業の論理。家族も周囲から孤立し、会社の経営も危機的状況下、絶望しかけた赤松に記者・榎本が驚愕の事実をもたらす。
 事故原因の核心に関わる衝撃の事実を知り、組織ぐるみのリコール隠しの疑いを抱いた赤松。だが、決定的な証拠はない――。激しさを増すホープグループの妨害。赤松は真実を証明できるのか。
 社員、そして家族を守るために巨大企業相手に闘う男の姿を描いた、感動の傑作エンターテインメント小説。                                     
                                    (内容紹介文より)


 漸く読めました、『空飛ぶタイヤ』。噂に違わぬ面白さでした。
 私に予約本ラッシュが続いたこともあって、先に母が読んでたのですが、「久々、徹夜しようかと思った」とのこと。ふうん、と表紙を捲った途端現れた二段組の構成に、「わ、何このボリューム;」とたじろいだのも一瞬。確かに、途中でやめられませんでした。
 ここさえうまく行けば、ここさえ切り抜けられれば、という連続。降りかかる苦難に対する道が一つ一つ閉ざされ、「それでもこれ絶対ハッピーエンドだよね??」っていう匂いがぷんぷんしてるから、ある意味安心して読み進められる。ラスト、ホープ自動車に家宅捜索にまで入ったのに証拠が隠滅されて出て来ない展開に、「沢田、何してんだよ、預かったパソコン早く出せよ!」と思わず心の中で発破かけてましたよ(笑)。
 事故原因を、メーカーに調査依頼する、それをまるのまま信じる、それがセオリーってのは、私が車を持ってないせいなのかぴんと来ず、「へぇ~、そんなもんなのか?」と思いましたね。セカンドオピニオンってさぁ、どこの世界でも重要じゃないかな。
 何かでも、この作品読んでて思い出したのが羽海野チカ著『ハチミツとクローバー』の中の真山の台詞。
 「イザそのチャンスが来た時にそれに「飛び込めるか」「飛び込めないか」って単純にお金の「ある」「なし」にかかってくるコトがほとんどな気がすんだよね」
 資金繰りにとにかく苦労する主人公の姿に、「本当、お金って大切だね」「余裕があったら訴訟に打って出て真実を明らかにする、って方法が取れるのにね」と歯噛みすることしきり。ホープ側にもその点、見抜かれて見くびられてたし。…先立つものは重要ですね~。いや、すみません;