読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

花だより みをつくし料理帳 特別巻 高田郁著 角川春樹事務所 2018年

 『みをつくし料理帳』シリーズ後日譚。

 花だより――愛し浅蜊佃煮
偶然出くわした水原東西と名乗る占い師に、余命1年に満たない、と言われた種市。一念発起、清右衛門、坂本堂と一緒に大坂に行く決意をする。澪への土産に選んだのは浅蜊の佃煮、手ずから丁寧に煮上げて、りうも連れ立って小田原へ、更に箱根へ。

 涼風あり――その名は岡太夫
御膳奉行の小野寺数馬の妻・乙緒は嫁いで六年、感情を表に出さない性質だが、息子にも恵まれ、いかにも美味しそうに食事する夫との仲も悪くない。だがある日、数馬の妹早帆から、夫のかつての想い人の話を聞いて心が乱れる。酷いつわりも重なって具合の悪い中、思い起こすのは姑の里津のこと。かつて、手ずからこっそり食べさせてくれた「岡太夫」という菓子は何だったのか。

 秋燕――明日の唐汁
高麗屋淡路屋を再建して三年。眼鏡という高級品をメインに扱うことで、野江の店は順調に繁盛している。だが「女名前禁止」、そろそろ店主を立てねばならない。わざわざ江戸から訪れてきた摂津屋助五郎にも促され、野江は番頭の辰助に、又次との出会いを語り始める。まだ禿の頃、記憶も戻らないまま吉原を逃げ出そうとした幼い頃の思い出を。

 月の船を漕ぐ――病知らず
三日ころりが流行って、でも永田源斉は誰も救えなかった。落ち込んで何も食べられない夫を心配する澪。折も悪く、代替わりした大家から、もう店を貸せない、出て行ってくれと言われてしまった。澪は夫への献立を考えあぐね、姑に手紙を出す。澪は江戸味噌を作り始めた。…

 巻末に、それぞれ出てくる料理のレシピを書いた澪の料理帳と、みをつくし瓦版を掲載。

 
 このシリーズは母も好きで読んでいて、この本も母が先に読んでました。蕨餅の話になって、
私「そういえば逆瀬川に、蕨餅出してる和菓子屋さんがあったっけ」
母「でも話読んでたら、自分で作れそうよ。根気よく練って行くみたい」
 …またプロの技を軽く見る、小器用な主婦の悪い癖が…(苦笑;)。
 この作品、というか次の「あきない世傳」のシリーズでもそうですが、嫁姑との関係が良好なんですよね~。受け継いでいくものをしっかり伝え、認め、受け止める。悪意を持たない誠実さってのはやっぱり気持ちいい。
 このシリーズもこれで最後だとか。澪さん、野江さんは子供いないままなのね~。会えなくなるのは残念ですが、他の話にちらっとでも姿を見せてくれないかな。他のシリーズで眼鏡を作る場面があるとか、美味しい店がある、って評判になってるとか。