読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

フーガはユーガ 伊坂幸太郎著 実業之日本社 2018年

 ネタばれあります、すみません;

 常盤優我は仙台市のファミレスで一人の男に語り出す。
 双子の弟・風我のこと、決して幸せでなかった子供時代のこと、そして、彼ら兄弟だけの特別な「アレ」のこと。僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手強い。
                                         (帯文より)

 父親から受ける暴力、母親の無関心。自分たちを自ら救うためだろうか、常盤優我と風我の双子の兄弟は、誕生日の日、2時間おきに体が入れ替わるという不思議な能力に目覚めた。その能力が切っ掛けで風我は恋人・小玉と巡り会い、彼女を叔父からの酷い虐待から救う。ついでのように手に入れた金で、優我は大学へ通うことができた。
 バイト先のコンビニで、カードゲームを切っ掛けに知り合った少年ハルタ、その母親のハルコさんに惹かれる優雅。小学生の連続誘拐殺人事件が起きて、不安な様子のハルタを元気付けようと、風我と計画を練っていた矢先、優我の前に父親が現れる。父親はハルタを、引いてはハルコさんを襲い、優我と風我の逆鱗に触れて命を賭す。結果、風我も…。
 常盤優我は仙台市のファミレスで一人の男に語る。トイレで録られた盗撮動画、丁度入れ替わりの瞬間を捕えたその映像の説明をする為に。中学生の頃、偶然出会った女の子に渡した汚れたシロクマのぬいぐるみのこと、その場面に一緒にいたワタボコリと呼ばれて虐められていたクラスメイトのこと。そして、その日は二人の誕生日だった。…


 これぞ伊坂作品…!
 読み始めてすぐ、これはあのパターンじゃん、細かいこともちゃんと覚えておかなきゃいけないヤツじゃん、とわくわくしました。最初に「嘘が混ざりますよ」と断られる分、どれを信じていいのやら、ではあるんですけど。
 面白かったです。伏線が回収されて行く後半、でもこれ、何気に優我が不幸なままなんだよなぁ; せめて風我がその分、幸せになってくれたらいいんだけど、で、そうなってる雰囲気ではあるんだけど。