読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

秘密のチョコレート チョコレート小説アンソロジー 今野緒雪・岩本薫・我島彩子・はるおかりの・櫻川さなぎ著 集英社オレンジ文庫 2019年

 チョコレートにまつわる短編集。

 プラリネ 櫻川さなぎ
陸上部をサボってチョコレートカフェに通う倫子。理由はそこに勤めるショコラティエが、姉の元恋人だったから。姉に代わって別れの理由を問い詰める、きっと浮気が原因だからその現場を押さえる、と息巻く倫子に、クラブメイトの三戸崎佑介は別の理由を指摘する。

 かぐや姫のチョコレート 今野緒雪
女の子からのバレンタインチョコを、「カカオからの手作りじゃないと受け取らない」と屁理屈をつけて断っていた有田涼介。たいがい呆れて引き下がるのに、たった一人、小西花帆だけは「分かった」と応えた。苗から育てたカカオの木になった豆でチョコレートを作ってくる、と4年後の約束を取り付けて、その日から行方不明になってしまった。以来、有田にはずっと花帆が引っかかったまま、大学生活を送る羽目に。花帆はカカオベルト最北端の地で、農業に勤しんだ。

 ちょこれいと六区 ~うちの悪魔で天使な弟が~ 我島彩子
お堅いと評判の国語教師・鶫澤つぐみ先生の出した課題は、チョコレートをテーマにした恋愛小説を書いてくること。優秀者にはプロのイラストレーターのイラストが書いて貰える、という。そのイラストレーター、夕凪茉凛の名を聞いて、鷺沼湖子の弟・六区は歓声を上げ、是非ともその権利を手に入れるべく、姉に乙女ゲームの猛特訓。折も折、六区は本物の夕凪茉凛と知り合って、鷺沼先生との昔からの因縁も知ることに。六区は二人の仲を取り持つ、と妙に楽しそう…。

 花わずらい はるおかりの
新吉原の花魁・玉扇は元々の実家が貸本屋だったこともあって、どんな贈り物より本を好む変わり者。前の店からの贔屓客 高坂もそれを分かって、差し入れに本を持ってくる。「死んだ妹に似ているから」と玉扇に手を出さない高坂は、雷の夜、異様に怯える玉扇に理由を問い質す。
 
 2/14 岩本薫
家出したまま不良の溜まり場に潜り込み、そこで犯罪への加担を強要されて逃げ出した鈴成播磨。ボコボコに殴られて倒れていた路地裏で、一人の老紳士に拾われる。彼、桜庭永栄は“伝説のデシャップ”と呼ばれる給仕だった。…


 今野緒雪さんの名前に惹かれて借りた一冊。成程、どれも面白かったです。というか、色々知らないことも教えて貰えて(笑)、別の作品やら何やらを連想したり。
 今野さんの作中の「カカオは苗から4年」の言葉に、アニメ『抱かれたい男一位に脅されています』の最終話を思い出して、じゃあチュン太、高人さん好みのカカオ豆生産してるカカオの木探し出してそこ農園ごと買ったのかなとか(←おい;)。
 いや、真面目な話、大学で研究成果を5年以内に上げなきゃいけなくなってると言うのも聞いたことがあったので、新しい農作物品種改良するとかの研究に、5年ではスケジュールキツイなぁとも思いましたし。
 『花わずらい』での吉原の風習も面白かったなぁ。『みをつくし』シリーズの野江ことあさひ太夫も、こういうことをしていたのかなと思いましたし。時代は江戸と明治で違いますけど。
 雑誌コバルトが紙媒体では廃刊になった、と聞いていたので、こういうアンソロジーは雑誌への短編掲載に代わる別の形なのかな、とも思ったり。これで気になった作家さんがいたら、また手に取ることになるでしょうしね。