読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

吉祥寺の百日恋 坂本葵著 新潮社 2014年

 都会の片隅、猫たちが夜毎こんな甘やかな恋愛遊戯にひたっていたとは――。
 この恋は偽り、それとも真実?
 ――若きシャム猫の錫乃介はその美貌ゆえに放蕩の日々。かつて道ならぬ恋にあった義姉・永遠子にけしかけられ、侯爵家の令嬢・深雪を百日で籠絡出来るかの賭けをする。
 手練手管で誘惑し、念願の褒美を得るはずだったのだが……。
 大型新人がラクロの古典文学を基に斬新な視点で描く、現代猫版〈危険な関係〉。    (帯文・内容紹介より)


 『日本ファンタジーノベル大賞』最終候補作品ということを今更ながら知って借りてみた一冊。
 これは、まず設定で受け入れられる人を選ぶだろうなぁ。かく言う私も、半分どうしたものやら、と思いながら読み終えましたので。
 猫の世界だけの恋愛ゲームならよかったんですよ。でも競馬の馬の感覚で鳥が出て来たリ、恋のさや当てで犬が出て来たリすると、いや、猫そんなに上位なのとか、種族間の垣根はとか余計なことに思いを馳せてしまいまして;;
 連想したのは谷崎潤一郎著『春琴抄』。作中でも名前が出てくるので、作者勿論意識してますよね。ただこっちの作品のお嬢さんは性格いいですけど。
 ラストの壮絶さには驚きました。文字通り身を挺しての純愛。これは、猫ならではなんだよなぁ。