読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

あきない世傳 金と銀 二 早瀬篇  高田郁著  2016年 角川春樹事務所

 シリーズ二冊目。
 ネタばれあります、すみません;

 学者の娘として生まれ、今は大坂天満の呉服商「五鈴屋」に女衆として奉公する主人公、幸。十四歳の幸に、店主徳兵衛の後添いに、との話が持ち上がった。店主は放蕩三昧で、五鈴屋は危機に瀕している。番頭の治兵衛は幸に逃げ道を教える一方で「幸は運命に翻弄される弱い女子とは違う。どないな運命でも切り拓いて勝ち進んでいく女子だす」と伝える。果たして、呉服商の仲間の寄り合いで値踏みされた幸は、呉服のことを問われ、分からないなりに「商売往来」を諳んじ、皆の承認を得る。だが、彼女を一番に軽んじたのは四代目徳兵衛だった。徳兵衛は祝儀銀を惜しみ、幸を正式な「ご寮さん」とする手続きを怠った。
 徳兵衛の放蕩は収まらず、店の商品を横流しまでする。惣次は幸を連れ、店前現銀売りの店に収まっていた商品を買い戻す。また、惣次の屋敷売りに同行し、惣次の営業の腕に感嘆する。
 日々増えて行く新しい知識に、胸躍る幸。徳兵衛を見限って店を離れる奉公人も出る中、惣次に婿養子の話が持ち上がる。治兵衛も卒中で店を去り、惣次までいなくなって、五鈴屋はやっていけるのか。だが、惣次にはこれ以上ない話でもある。惣次に嫉妬した徳兵衛は廓に通い、その帰りに堤から足を滑らせ、帰らぬ人となってしまった。幸は十七になっていた。…


 高田さん、すげえ。前作は美味しい料理、今回は着物。女の欲望を次々突いてくるぜ…!(笑)
 緞子、光琳波、白藍、松葉色、萱草色。どんな織りか柄か色かもわからないような着物や帯が続々、いや、自分に知識がないだけなんですけどね(苦笑;)、でもわくわくするよなぁ。
 四代目が死んで、いきなり月のものが来る展開、あえてさらっと書いたんでしょうが、これ幸の無意識の抵抗だったんじゃないかなぁ、と深読みしたり。荻原規子さんの『白鳥異伝』では、そんな場面を劇的に描いてましたっけ。何てエロい、とどきどきした覚えが…(笑)。
 さて、惣次が五代目を継ぐ条件として出したのが「幸と結婚すること」。惣次は同志として、きっと幸を大切にしてくれるんじゃないかなと思いつつ。
 次巻に続きます。