読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

青空と逃げる 辻村深月著 中央公論新社 2018年

 ネタばれになってる気がします、すみません;

 本条拳、舞台役者。七月、客演した舞台の主演女優と同乗していた車が事故り、醜聞の渦中の人となる。それは顔を怪我した女優が自殺したことで、さらに火が着いた。
 妻の早苗と五年生の力もそれに巻き込まれた。拳は入院先から自宅に戻らず行方不明、押し寄せるマスコミや女優の所属事務所からの圧力に耐え切れず、夏休み、二人は逃げ出す。
 早苗の大学時代の友人を頼って四万十へ、そこにも追手が掛かって家島へ。夏休みが終わったのを切っ掛けに家島を出て、しかし東京に帰る気になれず、大分別府へ。早苗は砂かけ師の職を得て、いよいよ腰を据えるつもりだったのに、砂湯を取材に来たTVのために身元がばれてしまう。年末、女優の息子だと名乗る少年が力を訪ねて来る。その少年は、何故か拳の居場所を知っていた。「多分、仙台のあたりににいます」
 ――再び逃避行、今度は仙台へ。体調を崩した早苗を助けるために、力は強くなっていく。かつて舞台に立っていた経験を生かして、早苗は写真館でヘアメイクとして働き始めた。力もまた、母の違う面を知っていく。
 力の部屋に隠されていた血の付いた包丁、早苗がずっと訊き出せずにいたこと。早苗は力と、拳と向き合う決意をする。…

 
 読み始め、連想したのは角田光代著『八日目の蝉』、読んだばっかりでしたしね。あと、有川浩さんの何作かも。でも最終的にはちゃんと「辻村さんの作品」でした。辻村さんだもの、希望のない終わり方にはなるまい、とはずっと思ってましたし。
 怯えるばかりだった二人が、だんだんに自信をつけ、力を得て、物事に対処する覚悟を固める展開にはこちらも勇気づけられました。
 芸能プロの人が、旦那さんなり奥さんなりをあんなにもしつこく追いかける意味が今一つしっくりこないな、とも思いつつ。見つけてもどうしようもない気がするんだけど、損害賠償とかを請求するつもりなんだろうか、でもなぁ。
 これ、装丁もいいですよね。裏表紙の折り返しにこっそりお父さんが。でもある意味ネタばれかもしれませんけど(苦笑;)。