読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

天才詐欺師・夏目恭輔の善行日和 里見蘭著 宝島社文庫 2018年

 連作短編集。

 神様のペテン師
かつて天才詐欺師としてその名を馳せた夏目は、突然目の前に現れた女子中学生・小春から、とある依頼をされる。自分がいる修道院の地主が代替わりして、立ち退きを迫られている、当座しのげるだけのお金を貸してほしいというのだ。
小春にいきなり自分の娘だと名乗られて動揺する夏目、しかも身に覚えがない訳ではない。迷った挙句、夏目は一肌脱ぐことにする。夏目たちはヴァチカンからの奇跡調査官だと名乗って、地主に会うことにした。

 ユーチューバーが多すぎる
小春を通じて、また依頼が来た。新発売のゲーム機について、とある家電量販店の抽選販売に不正があった件の、真実を調べて欲しいというもの。事情を調べてみると、とあるユーチューバーが、再生回数と閲覧数を上げるために、偽のプレゼント企画をでっち上げたらしい。夏目たちは彼をドッキリにかける。

 回転寿司とルーレット
修道院の養護施設を卒園した女性が、結婚詐欺にあったらしい。小春の母みひろと知り合った切っ掛けが結婚詐欺だったこともあって、夏目には看過できない。夏目は相手の男に女を接近させ、その父親の伝手として闇カジノの手を出させる。

 怨霊と棲む男
小春の同級生の祖母が、祈祷師と名乗る女に騙され、金を奪われた。彼女のターゲットとなった老人たちにどういう共通点があったのか調べてみると、とある家事支援サービス会社が浮かび上がる。しかもその代表者は、かつてみひろを騙した詐欺男・橋爪だった。橋爪は小春の前に現れ、自分こそが本当の父親だと名乗ってくる。
不安に揺れながらも、夏目は祈祷師の前に次のターゲットをぶら下げる。多額の遺産を隠し持ったまま死んだ怨霊に憑かれた老人を。…


 昔あったTVドラマ『ハングマン』をちょっと思い出しました。違うのは、被害者にちゃんとお金を返すのが目的、ってとこかな。それはああ、凄くいいなぁ、と思ってしまった(笑)。
 荒唐無稽にも思える筋書きは、大丈夫?と思うんですが、そのくらい思い切った方が騙されやすいのかな。よく思いつくとも、と言った感じです。相手の男をペテンにかけるため、ホテルに行くことをあっさり了承する女の子には、本人それでいいのかしら、とちょっと首を傾げつつ。いや、貞操観念は人それぞれではあるんですけど。
 続きがいかにも出そうな感じ、橋爪との因縁はこれだけでは済まない雰囲気です。