読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

宮辻薬東宮 宮部みゆき 辻村深月 薬丸岳 東山彰良 宮内悠介著 講談社 2017年

 アンソロジー集。

 人・で・なし 宮部みゆき
協調性のまるでない後輩が辞めた日、「僕」は居酒屋で先輩と酒を飲んだ。流れのまま、「僕」は中学生だった頃に遭遇した<人でないもの>について語り始める。宝くじの当選金を元手に手に入れたマイホームのこと、その我儘について。

 ママ・はは 辻村深月
小学校の教師をしている「私」は同僚の引っ越しの手伝いをした。そこにあったアルバムの成人式の写真。藤色の着物を着て笑っている彼女は、実際はピンクの貸衣装を来たのだという。「真面目教」の母親の取り決めに悩まされてきた筈だった。

 わたし・わたし 薬丸岳
彼が私に50万円を用立てて欲しいという。振り込め詐欺の手先をしていたのにお金を失くし、その上母親が病気なのだとか。くれたダイヤのリングはぶかぶか、でも嬉しかった、代わりにお金をなんとかしようと思うほどに。彼が警察に引っ張られて行った後、彼女が取調室で語った身の上話は…。

 スマホが・ほ・し・い 東山彰良
春陽はスマホが欲しくて仕方がない。お祭りの夜、老婆から奪ったスマホは普段は使い物にならないのに不意に鳴り響き、ある場所を指し示す。その場所で何が起こるというのか。

 夢・を・殺す 宮内悠介
「ゲームを作る」という夢を叶えるため、従兄弟たちと立ち上げた会社は、でも今ではパチンコ機器の下請け仕事で成り立っている。とんでもない作業量の中、それでもいつかまた自分でゲームを作るという目的のために頑張る僕たち、僕が頼りにしていたのは桂と言う名の女性スタッフだった。彼女は素人の頃に僕たちが作ったゲームに憧れてこの会社に入って来たという。…


 宮部さんの短編を皮切りに、前作に触発された内容を編んでいくアンソロジー集。東山さんと宮内さんの作品を読んだの初めてじゃないかな。
 全体的にホラーテイスト、ってでもそれが依頼内容だったようですが。
 それぞれに面白かったです、どれも読み易くてするすると読めました。
 後味が悪いのはホラーだから仕方ないかな、でも一番悪かったのは薬丸さんの『わたし・わたし』でしたけど。いや、同じ過ちを繰り返しそうな所がね(苦笑;)。学習能力がないのは何だか辛いですね~。
 最後の宮内さんの、宮部さんへの繋げ方は成程、と思いましたね。主人公や周囲の人の性格からしてちょっと違和感は感じましたが、でも繋げるならこうだよな、と思いましたよ。
 それぞれの作者の言葉も何気に繋がってて、息合ってる感がつくづく感じられる一冊でした。