読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙Ⅲ   支倉凍砂著/文倉十イラスト  メディアワークス電撃文庫  2017年

 『狼と羊皮紙』シリーズ3冊目。
 ネタばれあります、すみません;

 聖職者志望の青年コルの連れは、「お嫁さんにしてほしい」と迫ってくる賢狼の娘ミューリ。海賊の島から出た二人は、嵐に巻き込まれウィンフィール王国の港町デザレフにたどり着く。
 教会が機能していないその町で、コルは「薄明の枢機卿」と呼ばれ、大商館の支配人エドウィン・スライにもてなされて、まるで救命主のような扱いを受けることに。そんなコルたちの前に、イレニアと名乗る商人の娘が現れる。彼女はなんと羊の化身であり、“ある大きな計画”に協力して欲しいと持ち掛けて来る。
 “ある大きな計画”――西の果てにあるという新大陸、伝説の「月を狩る熊」も渡ったと言われる新天地に、「人ならざる者」のみの国を作ること。ミューリにも魅力的に響くその言葉実現のため、教会からの徴税権を手に入れたイレニア。狙いは岬の先端にある大聖堂の聖遺物、聖人ネックスの布。糸が切れず、布が虫に食われず、火事にならない祝福が施された聖なる布を帆に掲げ、新大陸に向かうという。
 しがない羊毛の仲買人のイレニアでは追い返されても、コルならば受け入れて貰える筈。イレニアの思惑は当たったが、そこで分かったのは、肝心の大司教は金目のものを持てるだけ持って、さっさと大聖堂を後にしていたということ。残されていたのは司教の身代わりとなっていた羊飼いの老人ハボットのみ。彼に案内されて訪れた空の宝物庫の奥、さらにその奥に、コルたちは目的の布を見つけた。
 祝賀会だと喜ぶミューリの前から、イレニアは姿を消す。イレニアに騙されたのかも、と疑心暗鬼になるコルたちに、大聖堂からの呼び出しが掛った。大聖堂の宝物が無くなっていた件で、イレニアに新たな嫌疑が向けられたらしい。証言を求められて、コルとミューリも再び大聖堂に向かう。だが、二人もまた、罠に陥れられようとしていた。
火が掛けられた宝物庫の中で、三人は生き残る術を探す。…


 そうか、大航海時代の話になるのか。新興宗教団体がアメリカに渡ったんでしたよね、イギリスからの独立をこういう風に換骨奪胎するのか。
 確かに大勢の宣教師も海を渡った筈、上手く繋げたなぁと素直に感心しました。
 二転三転する真相、面白かったです。母親ホロからの因縁の「月を狩る熊」も登場しましたね。海底に足跡があるとか、どれほど大きい熊なんだ、というかこれも説明がつくんでしょうね。
 さて、エーブ・ボランの名前も出て来ましたよ、懐かしい。これからまたどうかかわってくるのか。
 次巻に続きます。