読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ファイト 佐藤賢一著 中央公論新社 2017年

 モハメド・アリの試合から四試合を選んで、その攻防・心情を描いた作品。

 第一試合 対ソニー・リストン、ヘビー級十五回戦 世界タイトルマッチ 1964年2月25日
 第二試合 対ジョー・フレージャー、ヘビー級第十五回戦 世界タイトルマッチ 1971年3月8日
 第三試合 対ジョージ・フォアマン、ヘビー級十五回戦 世界タイトルマッチ 1974年10月30日
 第四試合 対ラリー・ホームズ、ヘビー級十五回戦 世界タイトルマッチ 1980年10月2日

 モハメド・アリについての知識はほぼない状態で読みました。元々格闘技関係には興味がないたちなので。ですから、モハメド・アリの本名がカシアス・グレイだったということも、差別と闘った人だったということも、ベトナム戦争に反対していた人だということも、本書で初めて知りました。
 一ラウンド毎、一動作毎を描き、その時の心情、感情の動きまで描写する。次の試合の中でそれまでのアリの人生の歩みが回想され、試合内容に繋がっていく。アリが試合中に考えていることなんて勿論作者の推測なんでしょうが、何しろ歴史小説と違って現代に近い人物を描いているだけに、真に迫るにつれ、これどこまで本当なんだろう感がいつも以上に半端ない。
 記録映像とか見たんだろうなぁ、ボクサーの人にも取材したんだろうなぁ、作者ご本人もボクシング一通りやってみたんだろうなぁ。
 何しろ何も知らなかった世界、面白かったのか面白かったんですが、でもやっぱり、私格闘技系のスポーツは、あまり好きにはなれないかも、と思いましたよ。