読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

錆びた太陽 恩田陸著 朝日新聞出版 2017年

 ネタばれあります、すみません;

 立入制限区域のパトロールを担当するロボット「ウルトラ・エイト」たちの居住区に、国税庁から派遣されたという謎の女・財護徳子がやってきた。三日間の予定で、制限区域の実態調査を行うという。だが、彼らには、人間の訪問が事前に知らされていなかった! 戸惑いながらも、人間である徳子の司令に従うことにするのだが、とにかく彼女の身の危険を顧みない行動に、調子が狂わされっぱなし。徳子の表向きの目的は、マルピーと呼ばれるゾンビ状態になった人々に税金を掛けることなのだとか。まずは彼らにアンケートを取りたい、という彼女の希望を叶えるかのように、どうも知性があるようなゾンビが、端末を伝達手段として接触を試みてきた。どうやら我が国のトップは、どうせ汚染されているならと、国土を世界のゴミ捨て場として売り渡す算段をしているらしい。
 「ロボット三原則」の発展形「M(モラル)三原則」を守るよう造られたロボットたちは、この危機をどう判断するのか。まとわりついてくる徳子の真の目的は、そしてかつて農家一家が行方不明になった「水越事件」と、同じ日にいなくなってしまった八体目のロボット「シンコ」は関係あるのか。…
                                       (裏表紙紹介文に付け足しました)

 う~ん、何だか懐かしい。
 はらむテーマや背景は、一昔前のSFにもごろごろあったもの。ただ、その頃は「警鐘を鳴らす」レベルだった筈なのに、妙に重みが増している気が…。で、見事に恩田色に脚色されている気がします。
 徳子さんのキャラクターには、ちょっといらいらしたのも事実。いや、狂言回しとしてあの行動力は必要なのかもしれませんが、それにしても迷惑かけ過ぎじゃないですか? まぁ相手はロボットなんですけど。
 連想したのはやはり恩田さんの作品『ロミオとロミオ永遠に』。昭和の時代の流行りものをネーミングにするあたりが、ですね。『太陽にほえろ!』や『サンダーバード』、飼ってるネズミの名前は「アルジャーノン」だし、トラックは『一番星』だし。
 猫好きな友人は「青いじゅうたん」こと九尾の大猫をどう見るんだろう、とちょっと思ってしまいました。…上で寝たい、とか言い出しそうだなぁ;
 変わった装丁だな、これはもしかして、と思って確認したらやっぱり祖父江慎さん。しゃれてるんだ、変わってるんだけどね、ページが薄くて一度に二枚めくってしまうことを何度もしました。…指先の油分抜けてるんだよ、悪かったね;