読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

終わりなき夜に生れつく 恩田陸著 文藝春秋 2017年

 『夜の底は柔らかな幻』スピンオフ作品。

 彼らはいかにして、残虐な殺人者となったのか。
 強力な特殊能力を持って生まれ、少年期を共に過ごした三人の【在色者】。
 彼らは別々の道を歩み、やがて途鎖の山中で再会する。
 ひとりは傭兵、ひとりは入国管理官、そしてもう一人は稀代の犯罪者となって。
 『夜の底は柔らかな幻』で凄絶な殺し合いを演じた男たちの過去が今、明らかになる。     (帯文より)

 砂の夜
アフリカの紛争地で、国境なき医師団の一員として働くみつき。彼女は途鎖出身の在色者で、同じチームの軍勇司も在色者である。隠れ里のようなヒドゥ族の地を訪れたチームは、砂嵐のためそこで一晩を過ごすことになった。そこではこの所、毎夜のように人が奇妙な形にねじれて死ぬ事件が起こっているらしい。

 夜のふたつの貌
勇司の大学生時代。妙に目につく同級生がいた。法学部の葛城晃、どうやら彼も在色者らしい。地元の有力者の息子 藤代有一に目を着けられているようだ。医学部の殺人的なカリキュラムに追われる中、有事の通う医学部に、ダウナー系の薬物がこっそり売買されているらしいという噂が流れる。

 夜間飛行
葛城の大学最終学年。葛城は途鎖の入国管理官にスカウトされ、キャンプに参加することになった。現役入国管理官とのお札の取り合い、というあまりにも理不尽な五日間の後、葛城は他のキャンプ参加者と邂逅する。それは同じ山から出てきた幼馴染、神山だった。

 終わりなき夜に生れつく
都内で窒息死体が連続して見つかっている。契約記者兼賞金稼ぎの岩切和男はある日、不思議に顔を覚えられない男と出会う。何故かその男が気になった岩切は、自然とその男をマークするようになる。被害者は全て「反・在色者」均質化主義連合の一員、もしかしてその男 神山が犯人ではないのか。…


 何の予備知識もなく読み始めまして。文章の中に出てきた「途鎖国」の言葉にはッ!(笑)。そうか、これ『夜の底は柔らかな幻』のシリーズものか…! とか言いながら私、設定はかろうじて覚えていたのですが、『夜の底~』がどういう話だったのか今いち覚えてなくてですね; ええ、非常に新鮮な気持ちで読ませて頂きました;;
 とはいえ、面白かったです。訳が分からないながら、ぐいぐい読まされてしまう。最終話なんか、真相の察しがついてしまうんですけどね。こういう最後なんだろうな、ってのも。
 確か本編でも決定的な結末は迎えてなかったんじゃなかったかな。もう一度読んでみないと駄目かしら; また続きを書いて頂きたいものです。