読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ヨーレのクマー 宮部みゆき/作 佐竹美保/絵 角川書店 2016年

 宮部さんの作品『悲嘆の門』作中に出てきた絵本を出版したもの。

 クマーは、かいじゅうです。うつくしいフィヨルドと山にかこまれたヨーレのまちを、わるいかいじゅうから守っている、いいかいじゅうです。そのことを、まちの人たちは知りません。だってクマーはとうめいだから。でもある日、クマーの姿がみえるようになったのです。そのとき、まちの人たちがとった行動は―。
 とうめいなかいじゅう「クマー」をめぐる、やさしく悲しい物語。              (出版社HPより)


 なるほど、切なく哀しい物語。
 クマーがいなくなってから、悪い怪獣は町を襲って来なかったのかな。そしたら悪い怪獣は、クマーがいるから町を襲っていたのかな。だとしたらクマーの存在そのものは…。
 佐竹さんの絵は、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品の挿画で馴染みがありました。上橋菜穂子さんや荻原規子さんとも組んでらっしゃいましたよね。内容を把握してぎゅっと一枚絵にした表紙がとにかく印象的で、好感度が高い。今回も可愛らしかったです。俯瞰図が多いのも、クマーの視点なのかな、と思ったり。
 演出的のも、最後に水で滲んだ文字が出てきたりしてなるほど、と思いました。子供はこの話をどう思うのかな。何しろ救いがないからなぁ。